J.M.WESTON 677 The Hunt Derbyがやってきた!!ヤーヤーヤー!!!

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満員御礼お腹いっぱいです。

或る男のボヤキ

しかし、なんなのだ。
なんなんだこいつは。


高嶺の花だった。
でも突然現れた。




その割にはぽってりして見える。
どこまでも野暮ったい。
「もっとシュッとした、
似たやつ持ってんじゃん」。

なんでこれが憧れだったのだろう?




かと思えば、
思いっきり手間ヒマかけて作られている。


そしてタフだ。どこまでもタフ。
ステッチのでないつま先。
袋ベロ。
もともとはブーツだったのを
カットしたという出自。
シャフトのあと。


ノルベジェーゼ?
この靴にしか見られない、
謎の三角ステッチ。
ダブルなのにトリプル並みに
厚いレザーソール。


いわゆる、チッ。


そもそもカカトにスチール。
正面から見れば見事なねじれ。
ストンと落ちるインサイドに、
なだらかに落ちていくアウトサイド。

……よくわからないですが、コイツぁ何かにやられちまってますね。参ったぜ。

J.M.WESTON 677 The Hunt Derbeyがやってきた!!

やってきちゃいました。紆余曲折あったような、一直線だったような。

ちなみに入手自体はそこそこ前の話でしたので、今はアウトレットにはあまり品数がないとか……WESTON目的で行かれるかたは先に電話などで在庫確認しても良いかもしれません。

J.M.WESTONのハントダービーと言えば泣く子も黙る……というか、もでぃふぁいど も黙らされてきた1足です。

J.M.WESTONの靴ラインナップの中でもフラッグシップとして君臨しており、ほぼ手作業で作られています。誰が言ったか、またの名を靴のシーラカンス。

いつか再びシャンゼリゼの石畳を踏むとき、もでぃふぁいど は買うのだと決めていましたが、実際踏んだのは御殿場の石畳でした。

(バックパック背負っての旅だったのでシャンゼリゼは素通りでした。もったいないことを……)

というわけで各部詳しく見ていきますよー!

ラスト32!ぽってりシルエット!!

この靴、めちゃめちゃぽってりしてます。ラストは32。

定価が20万超えるような紳士靴って、往々にしてものすごいドレッシーでセクシー、スタイリッシュなシルエット!!という方向性になっていくことが多いですよね。見た目からして、スゲー!!みたいな。

でも、この靴、前述のボヤキのとおり、高嶺の花のわりには随分とふくよかな感じです。もでぃふぁいど 好みではありますが。

かと言って投げやりな木型なのかと言えば、全くそんなことはありません。

たとえば、前から見るとねじれがすごい!!!!

一般によくねじれていると言われるガジアーノがこんな感じです。

ねじれがすごいからエラいわけじゃありませんが、人間の足に合うように木型を作ると、このように上部がねじれていきます。そのぶん製作難度が上がるので、大量生産を是とするような靴はなかなかこの形にできません。

でもハントがここまてまネジレていたのは、もでぃふぁいど には意外でした。そもそも他の靴を見ても、外羽根の靴はねじれが特にわかりにくいです。その中にあってこのねじれ。履き心地に期待が高まります。

ノルウィージャンウェルト?

さて、公式にはこのように書かれていますが……

どう見てもノルウィージャンなウェルトはないです。

ちなみにこれがノルウィージャンウェルトです。

a.k.a パラブーツ

ノルベジェーゼだぜ!!

というわけで、ハントはノルウィージャンウェルトではなく、ノルベジェーゼ製法ですね。

ノルベジェーゼと言えば、イタリア靴の職人技の結晶!!というイメージありません?

イタリアのアルチザン(職人)の技術の粋を集めた感じ。もともとは登山靴に使われるような意匠です。

それが何故、J.M.WESTONのフラッグシップに載っているのか。そもそも、普通のノルベジェーゼの荒縄のような見た目とも違わない?何このオニギリ?

ちなみにJ.M.WESTONのノルベジェーゼはこんな感じの構造になってます。オニギリステッチ!

ジェノベーゼみたいで美味しそうと毎回思います

ちなみにコレがノルウィージャンウェルト製法。

そしてコレがグッドイヤーウェルト製法。

で、コレが、それらを書いた紙。

なんか楽しい

上の図の構造を見るとわかりますが、普通のグッドイヤー製法ではウェルトがくる部分に、ノルベジェーゼではアッパーの革がきます。

ハントもよく見ると、この部分、茶色いアッパーの革ですね。なんだかハントは地面にへばりついているような印象があったのですが、この縫い方によるものでしたね。

ノルベジェーゼは機械で縫えないため、基本手縫いになります。手がかかります。価格に人件費がのります。ハイ。

また、ノルベジェーゼはノルウィージャンウェルトに比べて、どちらかというと装飾的な意味合いが強いイメージがあります。

それでもこの極太オニギリステッチは、松ヤニを塗ってより合わせた麻の糸。ということから、防水性に優れるという話になっています。

なかなか今は水をぶっかける気にもなれませんが、そういう事態になって防水性について思うところがあれば、また記事を書きます。笑

スキンステッチ!!

これはもうスキンステッチですよ。

超絶技巧だとか、いや、意外とそんなでもないとか、いやいや時間がかかるから生産数が限られるとか、最早どうでもいいのです。

おれは!スキンステッチが!!すきだ!!!

スキンステッチとは、革の表面を貫通させずに縫う技術、そしてその意匠です。

もともとは、カントリーシューズにおいて縫い目を隠すことで、縫い糸が藪やらなにやらに引っかかってほつれるのを防ぐ、という機能的なデザインです。

スキンステッチを施す革には、糸やら針を断面に貫通させても破れない丈夫さが必要です。

しかし、高級靴に使われるきめ細かくしなやかなカーフは仔牛の皮が原料ということもあり、一般的には厚さが薄めです。

薄いけど丈夫。このアンビバレントを乗り越えた革だけが、スキンステッチを施されるのです……!!!

スキンステッチ!!!!

ウェストンのスキンステッチは上の写真の通り、トゥはエドワードグリーンのドーヴァー等と同じですが、モカ部分はまた縫い方が違いますね。ダブルなライトアングルステッチというか。近くで見るとそんなにモコモコじゃないです。でも、離れてみるとなんかいい感じ。また特集したいと思います。

スキンステッチ!!

バスタン社謹製レザーソール!

レザーソールはもでぃふぁいど が大好きなウェストン傘下のタンナー、バスタン社謹製です。

ここのレザーソールが使えるのは基本的にJ.M.WESTONだけ!!!(仲が良いスコッチグレインでも一部ラインで使われています。)

その履き心地は180のローファーで実証済み。目が詰まっていて、フワフワ。なのに削れにくい!!!しなやか!!!!

あとなんか「The 革」って感じの色味や質感も最高!!!

たぶん舐めても美味しい

が、ウエストン傘下ということもあってほとんど出回らないのでちょっとマイナーです。

でも品質的にはレンデンバッハと同等以上、ベイカー社のオークバークソールとも全然渡り合えるソールだと思います。(一個人の履いた感想です)

というのも、バスタンのソールも上記ビスポークシューズに使われるレザーソールと同様の製法で作られるオークバークソールだからです。

具体的には栗やケブラッチョの木をパウダー状にしたもの、そして樫(オーク)、ナラやカシワなどの樹皮に含まれる植物性タンニンでじっっっくり1年以上の月日をかけてなめしています。1年以上って。

そして仕上げにタラのオイルをぶち込んでからその革をさらに約5トンの圧力でプレス!

そりゃ目が詰まってるわけだ。皆さん5トンの圧力に耐えられますか?もでぃふぁいど は無理です。アンタはエラい。

そしてハントは贅沢にもこのレザーを2枚使いしてダブルソールに!!!しかも、ローファー等より分厚い革がソールとして使われています。

店員さんに比べてもらったことがあったのですが、ハントはダブルソールにもかかわらず、同社のトリプルソールの厚さとほぼ同等でした。

果たして返りやいかに。

トゥスチール!!

さて、実はこの靴、見た目に反して返りはめちゃくちゃ良いのですが(早速ネタバレ)、ダブルソールということもあり最初からトゥスチールがついています。

コテの装飾も素朴ながら良い

このスチール、余計な装飾も何もなく、実用のための装備って感じが好きです。結局削れますからね。

最初からヤスリで擦ったような割り切ったテクスチャですが、もでぃふぁいど は意外と好きです。なんでも好きとも言います。

かかとにスチール!!!

衝撃ポイントですよね。カカトにスチール。

飾り釘も素朴で良いです

いや、そこラバーでしょ?と思わずツッコミたくなるこの仕様。

現代においてカカトにスチールが仕込まれてる靴ってこの靴くらいじゃないです?だからシーラカンスなのよ。あとはタップダンス用の靴とか……。

「最初からラバーに交換してもらった」「カカトが接地する瞬間かっとぶ」などの声も聞いたことがありますが、果たしてその履き心地は……。

「チッ」

この段差!!!

この靴においては細々と健在しています。これでいいんだっけ?感もありますが。

ロシアンカーフ!!

Russia Finished Calfということで、海底から引き上げられた幻のロシアンカーフとは別モノです。型押しもないですし。

詳しくはこちらを。

以前はゴルフや598スプリットトゥダービーにも使われていましたが、今使われているのはハントとヨットだけですね。

オイルで仕上げられていると言っても質感はオイルドレザーより普通のカーフに近いです。というかもはや、普通のカーフなんじゃなかろか。笑

防水性や耐水性に関してもオイルたっぷりのクロムエクセルレザーやパラブーツのリスレザーよりは不安なような……

値段のせいかもですが。

もちろん革自体はキメが細かくしなやか、店員さんもお墨付きの丈夫さで文句なしの革だと思います!!

タンナー等公開されていませんが、自社フラッグシップモデルに軒並み採用されていたわけですし、関係の深いデュプイ社製かなぁと推測しています。(デュプイ社はウエストン傘下だった時期がありました)

ヒールの縫い目!!

こういうのをシームレスヒールというのかはわかりませんが……

縫い目がない!!

縫い目が内側にずれてる!!!

あった

これ、特に言及されませんが、いわゆるシームレスヒールとしてエレガントさを狙ったわけではなく、トゥのスキンステッチと同様に縫い目の保護を狙ったデザインなんじゃないかなぁと思っています。

袋ベロ!!!

これもカントリーシューズらしい意匠ですね。

シュータンが両側の羽根にしっかり縫い付けられている、袋ベロ仕様になっています。

そのままじゃ履けないので弛ませてあるわけです。履く時にたるーんと伸びます。

これにより、レースステイ部分からの雨や小石の侵入を防ぎます。そういうことになっています。

この部分の革は漉いてありますね。ロシアンカーフのキルトはもっと分厚いので。

履いてみた!!

そしてその衝撃の履き心地……は長くなってきたので次回!!!

無害な体毛にモザイク

まとめ

冒頭のボヤキは買った初日の夜、ハントを前につらつら打ち込んだものでした。

なんで憧れていたのだろう?

は、わりと核心である気がします。価格が高いから良いモノに決まってる、というのは上手くブランドの戦略に乗せられちまってる感もなきにしもあらず。

しかし、言葉や各部のディテールを重ねても言い表せないナニかがこの靴にはあります。それを魔性と呼ぶのかクラフトマンシップと呼ぶのか。

デザイン、意匠、機能のひとつひとつが、モレなく全てカントリーシューズを成す要素になっているのが素晴らしいと思います。

カントリーシューズとして奇をてらったデザインや飛び道具がないんですよね。無駄なデザインが入っていない。どこまでも純粋無垢なカントリーシューズ。

カントリーシューズという概念を形にしたらこうなっちゃった、みたいな。

つまり、インダストリアルデザインの権化であり、和風に言うならば用の美というやつです。

そんなところに魅力の一端があるのかなと。

そしてオールデンファンが最終的に行き着くとこまで行ってしまうように、ハントはウェストンファンの1つの到達点であることは間違いないでしょう。

実際この靴は、J.M.WESTONのフィッティングに惚れて、「え?これであんな価格の靴になったら履き心地どうなっちゃうの??」という感じじゃないと買えないかもしれません。

「ジョンロブのフィリップ2のが安いならそっち買うわ」「数万足してビスポークするわ」なんて方も多いのではないかと。

いやいや、でもその価値あるのよ!!と選択肢に入れてもらえるよう今後、履き心地などレビューしていきます。

今回はデザイン面を中心に見てきましたが、次回は履き心地!!いかに!!もでぃふぁいど の足は無事か!!(無事です)

今日のモディファイ!!

アウトレット品なのでモレなくFマークがついた1足ではありますが、敢えてその部分には触れないスタイルでいきます。

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