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John Lobbのコテージライン、William Norwegian(ウィリアムノルウィージャン)をレビュー!ついに入手したヴィンテージシューズに大満足!!

4ウィリアム目、着弾ッ……!!

ついにやっちまったJohn Lobbのコテージライン、William Norwegian

もでぃふぁいど はウィリアムという靴が大好きなのです。ウィリアム遍歴を辿れば、パラブーツのWilliamで1ウィリアム、

ジョンロブのWilliamで2ウィリアム、

JohnLobbのコテージラインをセルフオマージュしたWilliam92で3ウィリアム。

なんなら妻も1足揃えたりしているのですが、

ともかくやってきましたWilliam Norwegian!!!4ウィリアム!!!

2度あることは3度ある。3度あれば4度もある。これこそパーフェクト4th!!

John Lobbとは!

John Lobbとは、1849年にジョン・ロブ氏が創業したイギリスの革靴ブランドです。

くわしくは以前の記事から引用しましょう。

押さえておきたいポイントとして、実はジョンロブには2つありまして、イギリス本国でビスポーク店を続けている通称ロブロンドンと、1976年にパリ支店をエルメス資本が買い取って生まれた通称ロブパリがあります。

ロブロンドンはイギリス本国でのビスポークを行っており、エルメス傘下のロブパリはその他の国でのビスポークおよび既製靴のブランド使用権を持っています。

(こういう暖簾分けの例に漏れず、現在あまり仲はよろしくないそうな)

というわけで、ふだん日本で我々が目にする直営店やジョンロブと呼ぶ靴は、ロブパリのものです。(ロブロンドンのビスポークシューズは中古市場で目にすることはあるのの、新品で店頭に並ぶことはありません)

現在のイメージはやや両者で対照的で、ハウススタイルがトラディショナルでショートノーズなロブロンドンの靴に対し、

ロブパリではスマートでモダンな靴が多く展開されています。

ロブロンドンはその品質の証として、王室御用達の証であるロイヤルワラントを持つほか、ダブルモンクストラップの始祖、William(ウィリアム)を生み出したことでも知られ、ビスポークメーカーとしては殿堂入りな扱いです。

靴好きにイギリスのビスポークメーカー挙げろ、と言えば真っ先に挙がるのがこちらのロブロンドンではないでしょうか。(クレバリー、フォスターと並んで3大ブランドだったように思いますが今はどうなんでしょ?)

一方で、ロブパリは世界最高峰メゾンのエルメス傘下ということもあり、革の品質、そして靴のデザインはお墨付き!!

小さなビスポーク工房であるロブロンドンと比べれば、資本のデカさには歴然たる差があり、華やかな広告や高級感あふれる直営店など、エルメス傘下であることを生かしたブランド戦略で、認知度を高めています。

靴好きじゃなくてもジョンロブを知っているのは、ひとえにこのロブパリのおかげと言えるでしょう。

とまあ、だいたいこんな感じです。

ジョンロブは一般的知名度もありますが、そんなのはどうでもよくって、革靴好きならジョンロブって言葉にどこか心が震えますよね。それは品質の証……!!もでぃふぁいど もその1人です。

なんだかんだで、人生1度きり、やっぱり履いてみたいジョンロブなのです。

ジョンロブのコテージラインとは?

さて、そんなジョンロブですが過去には興味深いラインも出してまして、コテージラインもそのひとつ。

どうしても「クラシック」「堅実」「伝統」というイメージが先行しがちのジョンロブですが、コテージラインはその「堅さ」を少しだけ緩めて、よりカントリーライクなタフさを前面に打ち出したラインです。

このコテージラインは、フランスのパラブーツやエシュンが製造を請け負っていました。カントリーな味付けは十八番のブランドたちですね!

コテージラインが展開されていたのは、1990年代前半から2004年ごろまで。(後年ジョンロブ自身がコテージラインのセルフオマージュとして発売したWilliam92が”92″を冠するので1992年からでしょうか?)

William92

革靴ながらふだん使いしやすいカジュアル感は、むしろ今の空気感に合う気がしてなりません。

そんなコテージラインのラインナップは色々と出ていたようで、調べてみた限りこんな感じ。他にもあれば教えていただきたいです!

  • ダブルモンクストラップのウィリアムノルウィージャン
  • 外羽根プレーントゥのオスロ
  • 外羽根キャップトゥブーツのバロウ
  • バロウ同様キャップトゥブーツのロッキー
  • 変形ギリーシューズのウラヌス
  • 同じく変形ギリーのエルギン
  • 外羽根Uチップのウゼス
  • 外羽根Uチップのアーバイン
  • 外羽根Uチップブーツのコールドストリーム

などなど、さすがに10年続いたラインだけあり、様々なモデルが展開されていたようです。

コテージラインはパラブーツ製?エシュン製?

コテージラインはパラブーツやエシュンなど、フランスのメーカーに製造委託されていたようです。これらはどこもノルウィージャンウェルテッド製法を得意とするブランドのため、見た目だけで判断するのはなかなか難しいっぽいのが実情。(そもそも一般にOEM先がわかるようには作らんですよね)

文字でわかったりしないんだろうか?

エシュンは1934年創業で、1950年代にスキー用レザーブーツで一躍有名に。札幌やグルノーブル五輪でフランス代表スキーチームのスポンサーを務めました。スキーブーツは革製のものが少なくなり事業が衰退しましたが、革靴に軸足をうつし、1999年にパリに直営店を出店、現在も様々なファッションブランドとコラボ品を出すなど、堅実に商売しているブランドです。

パラブーツは、1908年に設立された靴工房に端を発するブランド。1980年代にはエルメスの別注でアザラシの毛皮を使用したミカエルフォックを生み出し、人気ブランドに返り咲きました。エシュンと同じくノルウィージャンウェルトを搭載したタフな靴が人気を博しています。

パラブーツはミカエルフォックの件で、すでにエルメスとコネクションがあったのがコテージラインで委託された背景にあったりするのでしょうか?(ロブパリはエルメス傘下です)

けっきょくパラブーツ製かエシュン製かは見た目からはハッキリせず(モデル毎という感じでもなさそう)、ソールを剥がした時にソールが中空構造になっているかどうかで見分けられるという話もありますが……。

パラブーツは現在も基本的にコルクを使わずに、ラバーソールの中空構造でクッション性を増しています。(エアマックスとかと同じですね)

もでぃふぁいど のウィリアムノルウィージャンが、どこ製なのかは、オールソール時のお楽しみになりそうです。

William物語〜ダブルモンクストラップの系譜

WilliamはJohn Lobbロンドンの2代目、ウィリアム・ロブ氏が1945年にウィンザー公から依頼されて作ったブーツが元祖です。

それを短靴の既成モデルとして、John Lobbパリが展開して市民権を得ました。

ドレスシューズとしてのWilliamは、現在もロブパリから展開されています。

(ちなみに元祖にちなんだブーツもあります)

そのバリエーションとして作られたのが、コテージラインのWilliam Norwegian。製造はパラブーツやエシュン。

John Lobbのコテージラインは2004年ごろ終売しましたが、2010年に製造を請け負っていたパラブーツからWilliamが復活。これもパラブーツで現在まで続くレギュラーモデルとして人気を誇っています。

2020年は元祖のウィリアムが誕生してから75周年ということで、ジョンロブからいくつかWilliamの限定モデルが出ました。そのうちの1つが、コテージラインのセルフオマージュであるWilliam92です。

というわけで、今回のWilliam Norwegianは、外伝の元祖……マリオで言ったらスーパーマリオカートに当たるシロモノ……いや、そもそものドンキーコングを考慮すればスーパーマリオブラザーズ自体がソレなのか!?

って感じですかね!

William Norwegian外観レビュー!

さきほどからチラチラと写真が載っていましたが、こちらがWilliam Norwegianです!!

ジョンロブのコテージラインの中でも人気だったと言われるこちらのモデル。おさらいすると、現在パラブーツからWilliamとして展開されるモデルの元祖になります。ダブルモンクストラップで、ノルウィージャンウェルトを採用した、ラバーソールのモデルです。

フォルムは、パラブーツのWilliamと同様……と言ったら「そりゃそうだろ」でおしまいなんですが(笑)、コロンとした親しみやすい印象です。

なので履くシーンもパラブーツWilliamと同様ですね。ジーンズやチノ、ミリタリーはボトムスに合わせて休日OK、悪天候ならジャケパンにも合わせようと思います。

スーツに合わせるなら他の靴や、もう少し木型がドレッシーなWilliam92を履くことでしょう。

(じゃあなんてパラブーツにしなかった?という点は後ほど。)

全体的にはこんな感じでしょうか!続いて各部見ていきましょう。

カジュアルダウンに一役買っている白ステッチ!

この系統のWilliamといえばコレですよねー!!

フチのステッチの内側に、白いステッチがアクセントとして入っています。

ダブルモンクストラップはアビエイターブーツをルーツに持つ重厚なデザインの靴ですが、この白いステッチが軽快なニュアンスを演出しています。

このようにミリタリーをルーツに持つものは合わせかたによっては、ともすればゴツすぎたり、印象が重すぎるということもありますが、このあたりの洒脱なヌケ感、脱力感はフランスのセンスでしょうか。

このステッチはこの靴が元祖となり、カントリーな雰囲気のWilliamを象徴するディテールとして、Paraboot版Williamや、 John LobbのWilliam92へと受け継がれるアイコンの1つになっています。

また、キャップ部にも白ステッチが!!

じつはこのキャップ部のステッチはのちのモデルに受け継がれなかった、ウィリアムノルウィージャン独特の意匠です。ぱっと見でも、ここで判別可能なので、今後の人生にお役立ていただけたら幸いです。

ダブルモンクストラップといえばのダブルバックル!

もともとは「飛行士のブーツ(アビエイターブーツ)みたいな靴を」ということで取り入れられたのが、ダブルモンクストラップの所以たるこちらのバックル!

ジョンロブの既成ラインのものは、ポリッシュされて光っており高級感がありますが、こちらはパラブーツと同様、鈍く光っています。いぶし銀、貫禄、質実剛健、そういう言葉が似合うディテールです。

ベルトは足首側だけ外せば脱ぎ履きできるので、紐靴より脱ぎ履きは楽です。なんなら外したままでも履けちゃったりするので、ローファー感覚で履くこともできちゃいます。べんり!

でも長距離歩くときはちゃんと止めましょう。止めたほうがちゃんと足が固定されるので疲れづらく、靴へのダメージ(足とライニングのスレ)も最小限に抑えられます。

安心と信頼のノルウィージャンウェルト!

William Norwegianやパラブーツ版Williamを象徴するディテールがこちら!その名にもなっているノルウィージャンウェルト!!!

リバースウェルトとも呼ばれるノルウィージャンウェルトですが、もともと登山靴に用いられていたディテールです。

アッパーレザーとソールの縫い代であるベルト状の革パーツ(ウェルト)をアッパー側に折り返して密着させることで、耐水性を向上させる狙いがあります。

また、ウェルトとソールの縫い目を解くことで、アッパーレザーへのダメージを最小限に抑えつつソールを交換することも可能です。

よって、ノルウィージャンウェルテッド製法の靴はグッドイヤーウェルテッド製法の靴と同様に、ソールを張り替えながら、永く履き続けることが嬉しいのもポイントになっています。

ブ厚い革がぶっとい糸で縫い付けられている見た目どおり、タフ、かつ、頑丈な仕様です。

これもこの靴の外観上のアクセントになっていまして、ラバーソールとともにラギッドな雰囲気を醸し出す実用的ディテールですよね!!

フワフワで肉厚なグレインレザーは揉み革?

今回入手した靴のレザーはグレインレザー!

とはいえ、Paraboot版Williamや

復刻版であるWilliam92の型押しレザーとは質感がちょっと違います。

型押しレザーは熱をかけながら型でプレスして製造します。その結果、ハリがあり、型があるていど均質に入る(型押しのパターンがある)という特徴があります。

いっぽう今回のWilliam Norwegianの革はパターンが一定でなく、分厚く、フワフワで、型押しレザーとは明らかに質感が違います。

どちらかというとペリンガー社のシュランケンカーフのような、フワフワ感があるのです。

ペリンガー社のシュランケンカーフ

古い靴ということもあるでしょうが、思っていたより柔らかく、モッチリフワフワした質感はちょっと意外でした。

また、革自体が柔らかいことの影響か、木型へ吊り込む(革を靴の形にする)工程で力がかかっている部分は、パターンが薄くなって少しスムースに。このコントラストはシボ革マニアの大好物です。おかわりください。ヒールあたりなんか最高です。

当時はジョンロブ側からレザーを供給していたのでしょうか?なんにせよロマンのあるレザーです!

ライニングもモッチリ!

パラブーツ版に慣れていると意外ですが、ライニングはモッチリとした牛革です。

パラブーツ版Williamは、パラブーツの他の靴と同じく、ライニングはヤギ革で統一されています。

あのソリッドでサラッとしたナチュラルな感触はあれはあれで好きですが、 今回、ライニングが牛革なことでジョンロブならではの高級感を味わえているような気がします。こうした副資材もロブ側からの供給だったのかもしれません。

薄めでゴツすぎないながら、柔らかでクッション性も抜群のSARソール!

お次はこちら、ソールパターンがカッチョイイでおなじみ(もでぃふぁいど 調べ)のSARソールです!

ようはラバーソールなわけですが、パラブーツ の現行モデルには存在しないパターンです。

ソール前半分、

ヒールにそれぞれジョンロブのJLロゴが読めますね。そりゃパラブーツにないわけだぜ。

今ではなくなってしまったこのロゴですね。

質感はパラブーツのラバーソールに似て、クッション性もありながら頑丈であるという、ソールの矛盾を克服している素晴らしいソールと感じました。克服というか、バランスが絶妙なのだと思います!

今回の靴は、製造から年月が経っているため、硬化やベタつきなどラバーソールあるあるなトラブルを覚悟していましたが、どちらも問題なくその耐久性にビックリです!

ただし、このSARソールはミッドソールに接着されているのですが、この接着剤が湿度の変化に弱いのか日本ではしばしば剥がれが発生したようです。

この個体もつま先がほんのり剥離しています。ここはちょっと懸念点。

このあたりを改善し、ヒールを別体とした純正のアシュビーソール(Ashby rubber sole)への換装もでき……るのか?似たパターンである、このソールはたしかに存在はしたようですが、現在も交換可能なのか、そのあたりはわかりませんでした!英語でもほとんど検索に出てこない謎ソール。

ウィリアムノルウィージャンのソール交換はひとつ今後の課題になりそうです。

Parisロゴ!90年代の生産か?

ロゴはJohn Lobb “Paris”ですね。ジョンロブなんだけどパリの方なんです、みたいな謙虚さが好きです。笑

2000年代、箱が茶色から黄色に変わるなどのエレガントな方向へのリブランディングの中で、このロゴから現行ロゴに変更になりました。

たしかになー、エレガントな靴を出していくとなると、コテージラインが廃番になるのも仕方ないですかね……。

と、思っていたら、やはり時代が追いついてきたのか、あらためて現行でノルウィージャンウェルテッド製法の靴がジョンロブから出てるじゃない!!

これはコテージラインの再来か!?!?どこのOEMなんでしょう?それともまさかの自社製?機械買った!?

が、まぁ、価格が価格なので、もでぃふぁいど には悩む権利もなさそうです!!

William Norwegianの履き心地!

さて、ウィリアムノルウィージャンの履き心地ですが……

めっちゃよいです!!!!!!

なにをもって良いとするかですが、この靴はスニーカー的な履き心地の良さです。つまり、クッション性が特に優れています。

ヒールがええ感じのクッション性です

ローテクスニーカーより返りもよく、クッション性もあるので履いていて疲れません。

ハイテクスニーカーと比べると、さすがにクッション性は劣ります。が、そのぶん安定していて、推進力がクッション性に殺されることなく、足指の力で蹴ったぶんしっかり前に進む感覚が気持ちいいです。

もでぃふぁいど がカジュアルなシューズに求める最適なあんばいのクッション性と言えます。頻繁に走ることはないですが、5-10kmくらい街歩きするにはまずもって問題なかったです。

それでいて、

  • カカトのつかみがしっかりあって足についてくる
  • ボールジョイント〜指先周りも余裕がある

と履いていて楽な木型と感じました。

さて、ここまで一般的な話ですが、ここまでのことは実はパラブーツでも同様なことです。パラブーツのウィリアムは誰にでも勧めたい1足……!!

なので、むしろ気になるのはパラブーツと比較してどうか?という部分かと思います。

パラブーツ(パラテックスやマルシェ2ソール搭載のモデル)と比較したときに感じることとしては、まずラバーソールが薄いこと。

アッパーがすでに柔らかくなっていることも影響していますが、返りがパラブーツに比べて素直で、よりレザーソールに近い感覚です。レザーソールに近いという意味では高級感ある、と言い換えられるかもしれません。(ブランドイメージに引っ張られすぎ?)

それでいてクッション性能はあまり犠牲になっていないという、絶妙さが光ります。

パラブーツでもアクティブソールなどは薄いので、感覚が似ているかも?いつか試してみたいものです。

SARソールとアッパーのためにこの靴を買ったと言っても……ソールとアッパー含めたらほぼ靴か……。

William Norwegianの木型はパラブーツ版と違う!?

靴の形の元となる、木型についても触れたいと思います。その履き心地はパラブーツの同サイズに比べてややタイト。

いい換えれば、ゆとりある履き心地のモデルが多いパラブーツに比べて、イギリスらしいフィッティングと言えそうです。いや、ロプパリなんですけどね。この感じ、どこかで……あっ!!8695ラストなんかに近い感じ!!そう、それだ!!!!

木型について、ジョンロブのコテージラインだったウィリアムノルウィージャンと、パラブーツが復活させたウィリアムが同じかどうか、正確にはわかりません。

が、横から見たトゥの形が違うので別物であると考えています。これがウィリアムノルウィージャン。一般的な英国靴に近いトゥのライン。

で、これがパラブーツのウィリアム(『パラブーツ完全Book』より)。トゥのポッコリ感が際立っていますね!

ただ、木型が違うといえど、もでぃふぁいど の足との相性(≒シワの位置)から、両者の木型のフィット感はかなり近いように思えます。バックルを両方留めたときの甲部の笑いは、「ああ、こんなんだったなー」と見覚えがあるものです。ざんねんな一致を見ました。笑

ただし、上でも述べたようにウィリアムノルウィージャンはパラブーツウィリアムの同サイズのものより少しタイトな気がします。

以前履いていたパラブーツのウィリアムには、ニューバランスやビルケンシュトックのインソールをつっこむ余裕がありましたが、自分の足がデカくなったことを差し引いても、今回のウィリアムノルウィージャンにその余裕はありません。ゼッタイむり!

さらに両者の木型が違うと考える理由を2つ。

1つ目の理由はコテージラインの生産体制です。

ウィリアムノルウィージャンは、シューホリックさんなどでエシュン製と断言されているものもあり、時期によってエシュン製とパラブーツ製に分かれそうです。しかし、たとえ委託先が変わっても木型は共通でしょう。

よって、コテージラインの木型はジョンロブから貸与されていたのではないでしょうか?コテージライン終売時の委託先がパラブーツに自社のノウハウが詰まった木型を残すということは考えづらい気がします。

(そもそも木型だって立派な会社の資産ですし、売るのではなく回収するでしょう。)

2つ目は、パラブーツ版ウィリアムで使われているラスト194は、パラブーツの他の多くのモデルと共通で使用されていることです。

フランス本国では人気No.1のアヴィニョンも、このラスト194で作られますが、アヴィニョンの登場は1970-80年代(パラブーツ完全ブックより)。

いわずもがなパラブーツ版ウィリアム復活の2011年よりだいぶ前です。

となれば、ラスト194が元より存在し、ウィリアムを作るときに相応しい木型として選定された=コテージライン製造時の木型とは違う木型で作ることにした、という流れが見えてきます。

というわけでウィリアムノルウィージャンの木型、というかコテージラインの木型はオリジナルなんじゃないですかね??

William Norwegian VS William92!!

後年、発売になったWilliam92と比較してみましょう。

Left:William92 Right:William Norwegian

見たまんま、形がぜんぜん違います。笑

William92は復刻というか、やっぱりセルフオマージュという感じですね。ジョンロブでWilliam92以外のWilliamにも主に使用される9795ラストは、1995年登場といえど、そこそこロングノーズでドレッシーな雰囲気です。なんならカジュアルなボトムスに合わせづらさを感じていました。

スニーカーの代わりに履くには太いボトムスでクッションさせるなどの工夫が必要です。

レザーは先ほど触れたように、質感が異なります。ハリがあるWilliam92の型押しレザー(左)に対して、William Norwegianのふわふわのグレインレザー(右)。

Left:William92 Right:William Norwegian

さらにステッチを拡大してみると、縫い目が整っているのは現行ジョンロブ(さすが)、一方コテージラインは革のキワキワを攻めて縫っていますね。(パラブーツも同様)

Left:William92 Right:William Norwegian

そしてバックル。現行ジョンロブはポリッシュされて光っています。コテージラインは鈍い光を湛えています。でも、これ……実はカタチは一緒では!?!?バックルの入手はダブルモンク製作の鬼門ですが、ジョンロブから供給されていたんですかね。

Left:William92 Right:William Norwegian

次にキャップ部のステッチ。左、William92は白ステッチと茶色ステッチで2本。右William Norwegianは白ステッチの上下に茶色ステッチで3本です。

Left:William92 Right:William Norwegian

セルフオマージュにあたって、こんなとこでコストを下げるようなブランドではないはずなので、3本だと何かしらの不具合があった?キャップ部にシワが入りやすい、逆にステッチが多すぎて革が裂けやすい、あたりでしょうか?

これからWilliam Norwegianを履く身としては、思い過ごしであると願いたいところです。笑

こんな感じでしょうか。92とNorwegianを比べることでWilliam92のドレッシーさを再認識し、William Norwegianへの理解も深まりました。とくに、バックルが現行ジョンロブと同じなのは興味深い点です。カントリーな雰囲気の中にちょっとドレッシーなエッセンスがあると光りますね。

William Norwegian VS Parboot Vogue(レディース版ウィリアム)!!

お次は現行のパラブーツと比べていきましょう。Williamは残念ながら手元にないので、レディース版のVogueで。サイズは違いますがフォルム似ていることがわかるかと思います。

革が違うのは見たまんまなので、バックルを比べてみましょう。左右が入れ替わってすまん。両者、輝きかた、質感は似ています。右側、パラブーツのバックルは直線的でゴツさやタフさを感じます。一方で左、William Norwegianのバックルは曲線で構成されており華奢な印象。

そりゃOEMが終わればバックルなどの部材は供給されなくなるので、パラブーツが後年自力で調達したのでしょう。これは良し悪しではなくて好みかなと。味付けの方向性が違うという感じでしょう。

つづいてキャップ部のステッチを比べてみましょう。左、パラブーツのVogueは2本、ジョンロブのコテージライン、William Norwegianは3本。

レザーのキワキワを攻めているのはパラブーツも同様……というかパラブーツの方が攻めているかも。

ステッチ同士の間隔はパラブーツがけっこう開いており、コテージラインは3本まとまっています。パラブーツのステッチのあいだに1本入れたら近くなるのでは?と思いましたが、ステッチの幅自体が違うのでちょっとうるさくなるかも。

なお、William92も、Vogueも(パラブーツWilliamも)、キャップ部は2本ステッチですが、そもそものWilliamもここは2本ステッチなので別におかしいことではありません。むしろパラブーツのWilliamはよく元祖を研究していることがわかりますね!

あとはノルウィージャンウェルト周り。角度が違ってすみませんが、左パラブーツVogueに比べて、右コテージラインのWilliam Norwegianは出し縫いの糸が太く、ゴツい印象。逆にノルウィージャンウェルト自体には大きな差は見受けられませんでした。

こんな感じで、比べてみてもパラブーツのWilliamの完成度は高いです。ラバーソールも素晴らしいですし。ふつうに考えたらこんなボロい靴を探して買わなくとも、新品でパラブーツのWilliamを買ったほうが満足感は高いと思いますし、人に聞かれたらそちらをオススメしたいところ。

まとめ !Why William Norwegian?

じゃあ、もでぃふぁいど はなぜコテージラインのWilliamをわざわざ狙ったかって、当時のレザーや木型などのロマンを味わいたかった、”John Lobb”を冠する靴としての実力を足で直に感じてみたかった、というのが理由です。

正直言って、最初は「まぁ、ジョンロブだし、もちろん良いんだろうな」と思っていたんですが、履いて、今回じっくり見ることで、その「良さ」の意味がよくわかりました。

じつは木型がパラブーツとは違うことがわかったり、バックルはむしろジョンロブのものだったりという新しい発見に大満足です!

あとなにより、ダブルモンクが好きすぎる。

コッペパンみたいなフォルムっちゃあそうなんですけどね。なのでデザインとして、形が良いんだよね!!みたいな感覚はあまりないのですが、どんなボトムスともすんなり合うことが気に入っています。

今回、William92に加えてWilliam Norwegianも手にしたことで、仕事用のスラックスから休日用のカーゴまで、手持ちのボトムスには全て対応できそうです。悩むのは短パンくらいでしょうか?

コテージラインは、いわばジョンロブの伝統を大切にしつつも、少し現代的で軽やかなスタイルを提案してくれます。

その中でもWilliam Norwegianは、まさにその名にふさわしい上品さと、足元をしっかりとサポートしてくれる機能美が融合した一足です。OEMとはいえ、部材に対するこだわりはさすがジョンロブ。

古着屋さんなんかで見かけたらぜひお試しを!

今日のモディファイ!

Williamをめぐる冒険はこれでひと段落の予定ですが、じつは納品待ちのダブルモンクが……。その話は、またいずれ!(たぶん)

2件のコメント

  1. とても興味深く拝見させていただきました。私もコテージラインは気になっていて、ギリーシューズ型のウラヌスを狙ってますが、ゴムソールの劣化が心配で中々手が出せずにいます。もでぃふぁいどさんは今回のウィリアムノルウェイジャンをソール交換するとなった場合はロブの店舗に持ってきますか?

    1. Skhinさま
      コメントありがとうございます!
      ウラヌス、唯一無二でめちゃくちゃカッコいいですよね!!!!なにかご参考になっていれば幸いです。

      リソールは悩ましいです。純正で後継のアシュビーソール換装の見積を取るもよし(取り扱いがまだあるのかも確認ですが)、どうせ質感が異なるのであれば修理屋さんでビブラムのガムライト系にするもよし、という感じでしょうか。

      さっそくつま先を引っかけてソールがベロンチョしたので自前で延命しつつ悩みます!(3/7記事アップ予定です!)

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