買っちまったものはしょうがないのでマジメにレビューします。
EDWARD GREEN!
エドワードグリーンは英国のシューメーカー。もろもろドラマティックな歴史もあるメーカーですが詳細は下記事をどうぞ。
英国既製靴ではジョンロブと並んで2強、最近はガジアーノ&ガーリングも込みで3強といった具合でしょうか。(既製のロブは本拠地パリですが、工場は英国ということで)
EDWARD GREEN Sandringham外観レビュー!
フルブローグダービーSandringham!
今回届いたのはこちら!Sandringham(サンドリンガム)です!!!
見ての通り外羽根フルブローグです。しかもスエードということで、エドワードグリーンのラインナップでもかなりカジュアルな1足になります。
何かおかしい?
ちなみにこのサンドリンガムにはどこかにおかしなところが……という話を昨日書きましたが、答えは……
シングルソール(R1ソール)であること!!
本来Sandringhamはハーフミッドソール(R2ソール)が装着されてます。ソールの丸みでわかりづらいですが、本来なら靴の前半分がレザー1枚分厚いです。
もでぃふぁいど は実物を前にして開封から1日後に気づきました。箱にも右下部にR2ソールとあります。
もちろんきちんとソールはついているので履けるのですが、カジュアルに使うつもりだったのであのボリューム感は欲しかったな、という微妙なラインの不具合……。しかし海外では言ったもん勝ちと聞きます。「ソール違くない?さらにディスカウントとかしてもらえるもの?」と拙い英語でエドワードグリーンに問い合わせたところ、
「すまん、再発防止するわ。ともかく、セール品をさらに割引くのはムリ。シューツリーを追加で送るか、それもイヤなら返品もうけるぜ」
という返答。返品は関税の払い戻しが面倒なので、シューツリーをもらいました。ツイているような、ツイていないような……。いや、どうせ長く履くなら妥協しないで買いたいじゃないですか。セールで買ってどの口が言うのかと。
まぁ、本来MTOしないと手に入らないちょっとスマートなサンドリンガムなので、仕事に履いて行くのにもちょうど良かったね!と言い聞かせて履きます。いいもんゴツい靴は他にもあるもん。
というわけで怪我の功名で手に入れた純正シューツリーを使い倒しつつレビューを進めていきます。
あらためてデザインを見ると、ブローグの大きさや流れ、間隔、メダリオンの適度な大きさなど、全体のバランスがドレスすぎずカジュアルすぎずの良い感じです。休日はピカピカの革靴より、このくらいの方が気が抜けててリラックスできそうです。(つま先擦る心配とかないので……)
202ラスト!
今回ラストは、エドワードグリーンと言えば!の202ラストEウィズです。実は202ラストは久々なのですが、足がデカくなったからか、履き心地のフィーリングがだいぶ変わりました。これものちほど。
202ラストの特徴は公式サイトでは以下のように説明されています。
Softly curved, classically English. Particularly accomodating of wider feet.
https://www.edwardgreen.com
ソフトな曲線で、クラシックなイギリス風、幅広な足には特に良い感じってな感じでしょうか。
しかしやたらめったらに幅広かというと、そう見えない不思議。202ラストに対しては、もっとポッテリしたイメージがありましたが、このSandringhamはなんだかスマートに見えます。
正面図。当然のようにねじれ、フクザツな形をしています。
土踏まずのあたりの釣り込み技術はさすがです。最近のビスポークに寄せた既製靴のような派手なクビレではないですが、非常に形が綺麗です。この靴のデザインだとクビレもあまり求めていないので大満足です。
モールスエード!!
このスエードの色味はモール。モグラ色です。
モグラって写真や本に頻出する割に地中にいるので野生のものにはなかなか出会わないですし、動物園とかでも見ないので、実は本物を見た覚えがないかも。ちなみに12時間何も食べないと餓死してしまう結構ギリギリな生き物らしいです。
まぁモグラってこんな色味……いやもっと濃くない?イギリスのモグラは色白なのか??
個人的には薄いコーヒー牛乳みたいな色だなと。ロイヤルミルクティーとか言えれば良いんですけどね。こういうところに暮らしっぷりが出ますね。
下のはなんかコラ画像みたいな写真ですが、スエードということでツイードのような起毛素材のパンツにも合わせやすいですし、公式HPには「この色味、サマーにショーツに合わせて履けばマジでイケてるんだぜ」みたいなことも書いてあったので、通年履けるポテンシャルを持っている………はず。
メダリオン&アザミ!
そうそうエドワードグリーンの代表的なメダリオンと言えば、このハートのような形。これも花(ブーケ)なんでしょうか。
そしてSandringhamのチャームポイントといえば、このアザミを模った穴飾り。アザミはスコットランドの国花です。カントリーシューズらしい意匠でかわいいですよね。たぶん履いてても誰も褒めてくれないので自分で褒めておきます。
激シブのライニングカラー!
ライニングもアッパーに合わせたカラーに。この色、緑っぽくないカーキみたいな色味……なんと呼べば?激シブな色味であることは間違いありません。ロゴは2014年頃からの新ロゴ。
R21ソール!
エドワードグリーンオリジナルで開発されたという薄型ラバーソール、R1ソールです。ロゴもバッチリ。
もう、アッパーもケアを気にしなくてよいのであれば、ソールもそうあって欲しい。履き心地は返りのつき方も含めて革底の方が好きですが、もう革底の靴はたくさんあるので、トコトン気負わなくて良い方に振ってあるのがポイント高かったです。(革底なら踏みとどまったと思います。ええ、そりゃもう。)
オリジナルと言っても、チャーチにだって似たようなダイヤモンドラバーソールがあるし、クロケットも薄型ダイナイトのシティソールを出しているので、別に特筆すべきことはないかな……。
どの薄型ラバーソールもそうですが、ハーフラバー貼り付けによる履き心地の変化を気にしなくて良いのは良いことです。もちろんグリップは革底より上。濡れた路面も安心です。晴れた日も濡れている花屋さんとかありますからね。
でもR2ソールも魅力的ですよね。オールソールの時がきたら考えます。果たしてそんな時が来るのだろうか?
202ラストの履き心地!
エドワードグリーンを代表する202ラストは、多くの人の足に合いやすい名ラストです。
202ラストが絶望的に合わない、という話はあまり聞きません。もでぃふぁいど 自身はカカトが小さいのでカカトの食いつきが良いと言われる202ラスト(しかもDウィズ)でも若干抜ける感覚があったのですが、久々にEウィズ履いたらほとんど気になりませんでした。
特にめちゃくちゃ絞ってあるカカトには見えませんが、甲の押さえや返りの良さもあってのことでしょう。
また、上の写真からもわかるようにカカトの中心線と前半分の中心線がしっかり足なりにずらされています。
(これがズレていない靴が履き心地が悪いかと言うと、最近そんなこともないと感じた靴も着弾したので奥の深いところです。)
あらためて色々な靴を(100足以上)履いてきた上で、202ラストはこれ以上ないくらいバランスの取れた履き心地と感じます。
以前ほど足裏の凹凸は感じない気がしますが、土踏まずの適度なサポート、幅広向けと言いつつしっかりフィットする甲、食いつきの良いカカトは、まさに「フィット感が良い靴」を具現化したらこうなる、というようなお手本のような木型だなと。
しっかりフィットする靴、というのを味わいたければ202ラストを履いてみるべし!!(できれば試着だけでなく、ちゃんと返りがつくまで歩いてみて欲しいところです)
もっと柔らかい靴で言えばガジアーノ&ガーリング、ガチガチにサポートがキマった靴で言えばサンクリスピンなどが挙げられますが、エドワードグリーン、特に202ラストは中庸です。特別柔らかくも硬くもありません。全てが程よいです。
派手なねじれやクビレはないですが、この一見クラシックで(いい意味で)普通な見た目で絶妙な履き心地を生み出すのは木型の妙ですね。
202ラストのサイズ感!
Eウィズは緩いかという懸念もあったのですが、まっっったく問題ありませんでした。
あらためて202ラストのサイズ感ですが、通常のUKサイズで取れば良いでしょう。むしろこの木型こそが基準になるのではないかと。
チャーチで70F、GG7E、チーニー7F、クロケット7E。このあたりは問題なく202Eで7で履けるはず。甲の高さはなんともなので試着はオススメしたいですが……それでも買っちゃうのが靴バカですよね……(自戒を込めて
ジョンロブ7000はハーフ下げている方も多いので悩ましいところ。9795は同じく7Eで履けています。
少なくともソックスの厚みで調整が効く範囲には収まる……はず。もでぃふぁいど は収まっています。
というわけでサンドリンガムを見てきました。
結局最後に残るのは、気負わず、天気予報なんて気にせず気楽に履ける靴なのでは?とここ最近は考えているのですが果たしてどうなることでしょう。
今日のモディファイ!
靴沼の恐ろしさ、存分に味わってってください。以下、EGフルブローグの掘り出し物ですよ。
やっぱりレア、楽天に1件だけのサンドリンガム!
内羽根ですが、ドえらいデッドストックマルバーンがサイズ違いで!?しかもアンダー6ケタ円〜!?
ちなみに旧ロゴデッドストックも。こわいですね。
hanaishiです。ご無沙汰しております。
Sandringham,現在ではR2ソールというテーパードソールが標準になっていたのですね。知りませんでした!
でもお安く、そしてシューツリーをタダ(!)で入手できて、ラッキーだったのではないのでしょうか。
私の印象では、スエードは通常のカーフより伸びやすいように感じるので、ソールのかえりが良くなりやすいR1ソールの方が、履き慣れた頃に羽根が閉じ切ってしまうリスクが少ない、と思いました。今十分に外羽根の間隔が開いていらっしゃるのであれば、要らぬ心配ですね、すみません!
四半世紀以上前にロンドン(バーリントンアーケード)で、私はとてつもなく拙い英語でSandringhamをMTOしたことを思い出しました!
その時、レディーメイドの在庫がなかっため、MTOとなったのですが、いろいろと融通がきくことを知らず、モデルとサイズ、アッパーのカーフの色を指定しただけでした。そのため、出来上がりは現地で見た通りのシングルソール(今でいうN1ソール)でした。
ただ、この頃のグリーンは旧→新工場への切り替え期。
お店での試着は旧202の別モデルで問題なかったのですが、出来上がりは新202のため、やや大きい作りとなってしまい、残念ながらヤフオクで売却となりました …。
すみません、思い出話をしてしまって。オヤジの戯言お許しください。
Sandringhamというスタイル,Mole Suede,202 Last,そしてシングルラバーソール。
とてもいい組み合わせでとてもいい仕上がりだなぁ、と思います。今のビジネスカジュアルや週末に街中やちょっとした旅行にもぴったりな1足ですね。
スエードだからといってお手入れはそこそこ頑張ってください(なんだかんだ言っても、ちゃんとやっていらっしゃるのだと思いますが)。
それでは、素敵な靴ライフを!
hanaishiさま
コメントありがとうございます!その後MTOされたドーヴァーの調子はいかがでしょうか?
前に友人にE202バークレーをファクトリーショップで購入してきてもらった際は、無念にも初履きで羽根が閉じ切ってしまったのですが、今回は最上部が1.5cmくらい開いているので大丈夫そうです。(そんな経緯があるのによう試着なしで買うわ、と今は自分でも思います……笑)
おっしゃる通り、この仕様は気兼ねなくどこでも履きやすく「重宝するぞ、これは……!」と予感がビンビンしました。黒のカーフの靴が求められる機会もほとんどなくなってしまったので、有事の際はこの1足抱えて飛び出せばなんとかなりそうです。
現地MTOまでこなされるエドワードグリーンのプロにお褒めいただいてSandringhamも光栄と思っていることでしょう!
そしてhanaishiさまもサンドリンガムをオーダー(しかも現地MTO!)されたことがあるのですね。
旧工場から新工場への移行期……話に聞くことはあれど、まさに実感を持って体験されたhanaishiさまのお話は大変勉強になります。(たまったものではない、という類の思い出かもしれませんが……)
旧202と新202、サイズ感が違うという話はぼちぼち聞きますが、そのような形で実際に体験されたというのはある意味伝説かと……。しかもなんのエクスキューズもなく変わってしまうものなのですね……。
当ブログは長文/思い出/自分語りのコメントは大歓迎、むしろ勉強させていただけるのが大変ありがたいと思っていますので、ぜひ今後もありったけの思いをぶつけてください!!笑
そしてスエードの手入れ、ひとまず手元にあったサフィールのスプレーをぶっかけてブラッシングしているくらいですが、がんばります!!なんだかんだちゃんとやっているだろうという信頼が嬉しいです、ありがとうございます!!
もでぃふぁいどさん、早速のご返信、ありがとうございます。
思い出話お許しいただき、ありがとうございます!
私の場合、昔は「良かった」というより、昔は(今も?)「こんな失敗、あんな失敗した」が多いですが。
MTOしたDoverのこと、覚えていてくださり、ありがとうございます。
10月中旬にオーダーしましたが、入荷したという連絡はまだいただけていないんですよね …。
11月価格改定直後の受注会で、どれだけオーダーがあったのか分かりませんが、きっと忙しいんだろうなぁ、と思いつつ気長に待っているところです。
実は …、私のSandringhamは3代目でして(恥)
1つ目は先のコメント通りですが、
2つ目は20年近く前のリベンジMTO(C808)でオールソールするほど履きましたが、C808 Lastでストームウェルト仕様でオーダーしていたため(恥×2)、ちょっと違うと感じていたことと、断捨離気分マックスの時期が重なり、2年ほど前メルカリ行きと相成りました。
3つ目は原点に帰り、C202 Lastで作り直し、ようやく満足したところです。
マスターロイドのSpencer(Sandringhamと同じ外羽根フルブローグ)と比べましたが(フルブローグ好きがバレますね)、Sandringhamの外羽根のレースステイ部分の長さが約1cm短く、同じ足長でもノーズ部分が長く見えるデザインなんだ、と気付きました。
とはいえ、ブリティッシュトラディショナルを守っていて、行き過ぎたスタイルにならず、とてもいい塩梅だなぁ、と思っています。
もでぃふぁいどさんは、まだお若いようですので、これからもたくさん失敗して良い経験を積んでください!
hanaishiさま
引き続きありがとうございます!Doverの到着はこれからとのこと、楽しみですね!
そしてなんとSandringhamは3代目!!!!
さすがすぎます!!!人のことを全く言えませんが、病膏肓の域に達していると言えましょう(最大絹の賛辞です)
SandringhamとSpencerの違いも興味深いです。外羽根フルブローグで同じメーカーの型違いをお持ちなのは、本当にフルブローグ、そしてグリーンがお好きでないと成し得ない所業だと思います。笑
お話伺っていると、以前持っていたE202よりスッキリ見えたのはパターンの妙もありそうですね。
いやしかし、C 808やC202が入る足、羨ましいです。ビスポークはCウィズくらいが1番美しく仕上がるという話も聞きます。私がお願いしたkiyo udaさんも、ベースラストはCウィズ相当とおっしゃっていました。ドーヴァーMTOが可能な感覚なら、十分圏内……というか、コメント欄なので書いてしまいますが、当時で現在のドーヴァーの定価くらいでしたので、アガリのおかわりにもオススメです。(現在はさすがに価格は上がっているかもです)
私もまだまだ勉強中の身ですが、80足くらい手放してきた(=何がしか失敗があった)ということで、これ以上は勘弁願いたいとは常々思っています、、、笑
もでぃふぁいどさん、とてもありがたいお言葉、ありがとうございます!
現在、所有しているフルブローグは外羽根/ラバーソールのSandringhamとSpencerだけなのですが、好みは30年近く前から変わらないようです(笑)
ちょっと補足を。
Spencerですが、新マスターロイド(クロケット製、Last D330)でMTOしたもので、メーカーが異なるので、比較の対象としてはあまり適切ではなかったかもしれません。すみません!
スタイルとしてはSandringhamと同じで、どちらもノーマルなラウンドトゥ、足長・足幅(アウトソールではなく、靴本体の外寸)1 〜 2 mm差でしたので、外羽根のシューレース側の幅の 10 mm差は大きいと思い、お伝えした次第です。
何度も失礼しました。良い日曜日を!
hanaishiさま
コメント返すのが遅くなってしまいました。すみません。
30年近く連れ添える靴があるのは羨ましいです。私の場合はどの靴になるのか……笑
Spencerは新マスターロイドだったのですね。たしかに(私が馴染み深いクロケ製の)マスターロイドはクラシックに、ショートノーズに見えるスタイルなので、むしろ捨て寸含めた外寸が202とほぼ同じというのは勉強になりました。
たしかにその条件で羽根の位置がそれだけ異なるのは、明確にデザインとしての意図がありそうです。
またぜひ色々と勉強させてください!またのコメントお待ちしております!
久々の202ラストとのことですが、もしかして木製ラストからプララストへ切り替わったからサイズ感が違うということはないでしょうか?
ハーフからワンサイズ程度サイズ感が変わったとか一時期話題になっていたような気がします。
変更も比較的最近だったような記憶…おじさんだから最近と感じるだけでしょうけど…いつでしたっけ。
ささみ120gさま
コメントありがとうございます!
確認したら2019年以来でした。そんなに前でもなかったです。笑
(靴道的にはここから一体何足の靴を履いてきただろう、と言う感じですが)
たしかにプララストの話、2020年前後ですかね?見た気がします。コロナ前だったような……どうでしたかね?実際靴の在庫の関係もあって明確に切り替わるわけじゃないのが難しいですよね。
2019年12月にファクトリーショップで買ってもらったE202バークレーは履いた瞬間に羽根が閉じ切ったのですが、今回は1.5cmくらい開いています。
・足が大きくなった?
・内羽根→外羽根
・カーフ→スエード(厚みに差?)
+プララストへの変更
と変化点が多すぎてよくわからんです。笑
ただ、ハーフくらい小さくなったような感覚はあります。言うほど幅広でもないですし、リラックスした履き心地とは感じません。想定外にtight enoughなので、きちんと履き慣らします、、、