この靴はあまりネット上にも情報が出てこないので、中古で買おうという方のご参考になればと思います!!
J.M.WESTONとは!!
J.M.WESTONはフランスの靴ファクトリーです。フランス靴の中では質実剛健なクラシックライン、フランスらしいエレガンスを追及したフローララインなど、様々なラインナップを取りそろえています。 何と言っても特徴は2つ。豊富なウィズ(幅)展開と、品質へのこだわりです。 フィット感の良さ、丈夫でしなやかな革、丁寧な作り、というのは、革靴を長く愛用するための必須条件です。
180シグネチャーローファーはジェイエムウエストンにおいて最もアイコニックなモデルです。
くわしくはよろしければこちらを。
579ジスカールとは!!!
謎多きモデルです。
ネットの海を彷徨っても出てくる情報と言えば、
「7分仕立てで作られている」
「昔の雑誌にはジョンロブのシティより高い値段だという情報が載っている」
このくらいしか出てきません。
7分仕立て?
これは靴の製造時にどこまで手作業で進めるか、ということを指す単語です。
底の縫い付けまで手作業で作ればフルハンド、つまり10分仕立て。
底を縫い付ける際、絞った土踏まずを手で縫い、他は機械で縫い付ける作り方が9分半仕立て。
底の縫い付けだけ機械で、そこまでの工程を手作業で進めるのが9分仕立て。
これらは
①革を手作業で木型に沿わせ張る作業(吊り込み)を手作業で丁寧に行うことで、靴の保形性が上がる&フィット感が向上する
②靴底の縫いしろとなるウェルトを手作業で縫い付けるので、構造を簡略化でき、履き始めから返りが良い
③構造の違いからコルクを詰めないので、オールソールしても履き心地が変わりにくい(分厚い中底に直接ウェルトを縫い付けるのでコルクが必要ないのです)
の3点がメリットとして言われます。(また記事にしますね)
つまり、靴底を縫い付ける直前まで手作業でやるのが9分仕立てで、そこから先をどこまで手でやるかによって、呼び名が9分半や10分仕立てになるわけです。
というのが前置きで……。
じゃあ7分って何???ウェルトは機械?ということはコルクは詰められてる?ということは吊り込みまで手作業ってことでいいのか??
なんせ「7分仕立て」なんて単語はグーグル先生に尋ねても答えが出てこないのです。出てくるのは、ジスカールの情報だけ。堂々巡りか!
「シティより高い」
そしてこの情報に一体なんの意味があるというのか。笑
ジョンロブの上級ラインである、プレステージラインのフィリップ2等ならともかく、スタンダードラインであるシティより高い、と言われても。。。(じゅうぶん高いんですけどね)
その中古なんですから、もうなんというか、クソもヘッタクレもねぇ。
おっと美しい日本語を心掛けなければ。。。
まぁそんなこんなで謎だらけの靴ですが、ディテールを見ていきたいと思います。
ジスカールのディテール!!!
1.ダブルソール!!!タナリーバスタン産!最高の革底!!!
底はダブルレザーソールです。
ウエストンの革底は傘下のタンナー(革なめし業者)であるタナリーバスタン社特製の革で作られています。世界中のファクトリーがこの革を使いたい!と言うも、ウェストンが許したのはただ1社のみ、技術交流のある日本のスコッチグレインのみです。(ヒロカワ製靴さん、ホントすごいことだと思います)
この革は「なんでも機械化、工程短縮」の現在では考えられないほど、アナログで時間をかけながら植物のエキスでなめされ、トン単位の圧力をかけて仕上げられています。レザーソールなのに、フワフワでしかも減りづらいという魅惑の素材なのです。
これが、ダブル。2倍です。
もでぃふぁいど は最近は「ドレッシーさ」や「フォーマルさ」を求められるパーティーや冠婚葬祭用の靴を除いて、なんでもダブルソールで良いんじゃない?という気すらしています。
今後、オールソールするときは全部ダブルにしたろうか。笑
実際問題、点字ブロックや古いアスファルトの路面、石畳なんかだとシングルソールの場合、けっこう足にゴツゴツを感じて歩きづらいです。特に減ってきたとき……(都会に住んでないので路面ごつごつなんです。笑)
その点、ダブルソールは若干クッション性も増しますし、なにより男らしい。「へびーでゅーてぃ」です。
ちなみに伏せ縫いです。底が減って出し縫いが見えてしまっていますが……。
2.つま先の飾り釘!!!
昨夏に出たウルトラウエストンのラインもこの仕様だったでしょうか。
つま先の補強のため、スチールではなく飾り釘が打たれています。
丹念に2列打たれた釘に、ブランドの頭文字「W」。草生える。
だいぶ削れているところから見て、つま先保護の効果は怪しいところですが、修理するのであれば尊重したい部分です。きっとユニオンワークスさんならば、、、でも純正修理できなくなるからなぁ。うむむ。
3.変形セミブローグダービー!!ウエストンの象徴!?
ウエストンというブランドの成り立ちを考えると、、、
フランスの若者が「英国靴を手本に、アメリカで合理的に作られている靴」を工房に持ち帰ったことを端を発します。
イギリスとアメリカ、そしてフランス。3つの国のエッセンスが混ざっているのですね。
そういった視点でみるとこの変形セミブローグは、、、
英国らしいメダリオンが施されたトゥキャップ。
クォーターからヒールへと続く、アメリカンなロングウィングチップを彷彿とさせるブローギング。
ウエストンのお家芸、外羽根=ダービーシューズ。
まさにJ.M.WESTONというファクトリーを体現するデザインの靴と言えるのではないでしょうか。
4.シームレスヒール!!!
誰が求めたのかわからない、エレガントなヒール。笑
ダブルソール、ブローギング、外羽根という武骨なだけの靴にしなかったあたりが、フランスらしいバランス感覚なのかもしれません。
縫い目が側面に回されているので、ヒールに縫い目(シーム!)がありません(レス!)。
磨きやすいので個人的には嬉しい仕様です。(そこかよ)
実は普通のヒールのほうが強度があるとかいうウワサもありますので、デザイン重視のディテールですね。そもそもヒールから裂けるような壊れ方をした靴を見たことがないので真実は分かりませんが。。。
5.よさげな革!
アヤフヤです。笑
ウエストンと言えば、革。
革と言えば、ウエストン。
昔は革の質が良かった、、、とはよく言われますが、そんなに違いますかねぇ。今も昔も良いもんは良い、ダメなもんはダメ、というもんでもないのでしょうか?
手持ちにないので今の茶色のウエストンの革と比べることはできませんが、レノベイタークリームを入れたらじんわり、しかし、確かに輝きを感じる奥深い質感の革です。
っというわけで、579ジスカールのディテールを見てきました。
サイズ感!!
普段UK7Eを履く、左25.2cm、右25.4cmの足のもでぃふぁいど ですが。
この579ジスカールは7Eをチョイス!!!というかこれしかなかった!!!
結果!!!!
羽根ガン閉じ!!!!!!
34ラストという木型を採用してますが、、、サイズ感的にはパラブーツ、、、シャンボードやウィリアムが近い気がします。(羽根閉じ具合も含めて)(少し足せば新品パラブーツ買えたじゃんとか言ってはいけない……)
6/E(6.5E)もいけただろうな、という気がするも、中古だったし、廃番品だし、履き比べられないからしょうがない。割高かなと思いつつ、というか相場より明らかに割高だったんですが、運命を感じやっちまいました。買わずに後悔するくらいなら買って後悔しろ!を信条とする、もでぃふぁいど です。破滅への道。
右は若干ですが羽根が開くので、まぁこんなもんなんでしょう、とも思います。
例によってカントリー靴にありがちな、「分厚い靴下前提」のフィッティングなのかもしれません。
返りは、そこそこ履きこまれているのか、7分仕立てのおかげなのかはわかりませんが、とんでもなく良いです。ウエストンのイメージを覆します。なんならその辺のスニーカーより返りが良いです。ゴルフ修行の日々はなんだったのだ……。
よく677ハントダービーを履かれている方が、「ウエストンと思えないくらい楽」ということをおっしゃいますが、そういうことなんでしょうか。
楽具合で言えばオールデンのバリーラストより楽じゃなかろか?と感じます。
ウエストンに聞いてみた。
リペアの見積りついでに、もしわかることがあれば、ということで問い合わせのメールを送ってみました。お返事待ってます!!!
……そろそろ1週間経ちますが……届いているんでしょうか?
今日のモディファイ!!!
こんなにもウエストンを体現するモデルが何故歴史の闇に消えたのか……「良い女は謎の1つや2つくらい持っているものよ。」そんな声が聞こえてくる気がします!!!!靴ですが!!!
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ハントダービーはノルウィージャン製法でウエルトを介さずにアッパーに直接ソールを縫っているのと。
クラシックラインと同じでインソール裏を起こした革リブで掬い縫いをしているため、グッドイヤーのような硬いリブテープを使っていないのが返りの良さにつかながってるように思います。
ウエルトのないハンドソーンシューズですね。
ウエストンの中ではルモックやスニーカーを除外すれば一番返りがいい靴だと思います。
実際見た目の重厚感に反して、
通りすがりのチワワさま
コメントありがとうございます!
おっしゃる通り、ウエストンはリプテープ使わないので柔らかいんですよね!
もっとアピールすればいいのに……と老婆心ながら思ってしまいます。笑