革靴を90足履いてきた野郎が考える革靴の履き心地ベンチマーク!

革靴道の近道がここに!!……あるかもしれません。

ベンチマークとすべき履き心地の革靴!

90足という革靴を履いてきた我が革靴道を振り返ると、「これは!!!」という履き心地のものがいくつかありました。

先の記事で

  • 色んな履き心地を知った上で好みの靴を選べるようになったのは良いこと
  • だが90足履かなくともここまで辿り着けたのでは?

と書きましたが、今回の記事はまさにそのショートカットコースの道しるべとなる内容……になれば良いと思っています。

平たく言えば、衝撃的だった履き心地の靴を振り返るということで見ていただければと。もし今後木型が開発される際のご参考になるようなことがあれば大変ハッピーです。

ナウい既製靴の木型とクラシックな木型

その前に、まず既製靴の木型は履き心地の面で2つに大別されると思っています。クラシックな木型と新しい木型です。どちらを目指すかによっても歩むべき道は異なってくることでしょう。

英国的クラシックな木型

例えばロイドフットウェアさんの靴の木型に顕著ですが、クラシックな既製靴の木型というのは足全体を満遍なくフィットさせる、という考えに基づいているように思います。

マスターロイド

ロイドさんの言葉を借りれば「分厚い革でガッシリ足全体を包み込むフィッティング」。

当初は固く足が痛むようなこともあるかもしれませんが、履いて馴染んでくれば持ち主に合わせた最高の履き心地になります。

こうした履き心地の木型でパッと思いつくのは

  • John Lobbラスト7000/9795
  • J.M.WESTON 180ローファー(ラスト41)
  • 〃641ゴルフ(ラスト31)
  • Church’s ラスト173
  • ロイドフットウェアの靴全般

あたりでしょうか。

が、こういう木型の靴って履き心地の差別化が難しいと思います。そうなるとブランド力で上のようなブランドと勝負しなきゃならないわけで、なかなか厳しいかと、、、

そんなこともあってか、こうしたクラシックな木型は潮流から外れつつあるような気がします。個人的には好きですが、「試着→衝撃の履き心地!買う!!」ってなりづらいのかなと。

ナウい木型

一方で最近の潮流はと言えば、最初から足が痛まないコンフォートな履き心地、というのが一つキーワードになっています。

なのでフィッティングも全体を満遍なくというよりは、一部(踵や甲、土踏まずなど)をフィットさせて、他は快適なスペースを確保すると言った木型が注目を浴びています。(Aldenなど、元からあったと言えばあったのですが)

さらに最近ではそうしたフィッティング重視ながら見た目もビスポークシューズのようにスマートでエレガントという木型が出てきていますね。エドワードグリーンの新しいラスト(915等)はまさにその流れを汲んでいるように感じます。

だいたい履いた瞬間に「何このフィッティング!!買う!!」ってなるのはこのタイプの木型が多いです。

履き心地のベンチマーク/革靴道の道しるべ

そんなことを念頭に置いて、革靴道を振り返っていきたいと思います!!

以下試着だけでなく、できれば履いて歩くことでその良さは抜群にわかるようになると思います。

中古靴は結局足元に残りにくい?という記事も書きましたが、足に経験値を溜めるという意味では1番良い手段とも思います。正しいサイズを選べることが前提になりますけど……

皆様の革靴道のご参考になれば幸いです。

Alden モディファイドラスト!

まずは何はともあれコレ!!!オールデンのモディファイドラストです。大事なのはUKサイズ+0.5という判断基準ではなく、しっかりアーチ(土踏まず)を測って合わせたサイズを履くこと。

「今まで履いてきた靴と違う!」度で言えばNo.1でしょう。(今後出てくる靴に比べて)比較的手に入れやすいというのも良いところなので、まずコレを革靴道の初めの方に履いておくと幸せになれそうです。

なんなら一通りの靴を揃えていても「この靴さえあればもういいや」という気持ちになることもしばしば。しかし、この1足で済むほどモディファイドラストは甘くないです。履き心地がキャッチーすぎて、すぐ次のが欲しくなる怖い木型でもあります。笑

J.M.WESTON641/180

クラシックな木型で馴染ませる必要のある靴カテゴリからはこの2足。

どちらかを慣らせばクラシックな木型の醍醐味は存分に味わえるでしょう。たぶん598でも良いと思いますが、これはしっかり店員さんにもサイズを見てもらって十分にタイトなものを慣らすのが大事です。往々にして修行を終えるともう1足いきたくなるんですけどね。不思議。

まぁそこそこツラいので、絶対にそうしたほうがいいと断言はできないのですが「ウエストン修行ツラかったよねー」というのは革靴好きには比較的通じる話題なので人生経験としてはアリかもしれません。

これも他の楽な靴を知ってしまうと修行のツラさは否応なく増すので、早めに触れるのが吉な気がします。靴揃ってくるとやっぱ楽な靴履いちゃうじゃないすか。

KOCC越石さんと

新たに木型を作るなら、コレをベンチマークに据えるのはツラいかもしれません。ブランド力があゆウエストンですら挫折する方は多いので、、、

Crockett & Jones ラスト375!

クラシックなローファーの木型の代表がウエストンの41ラストであるなら、現代的なローファーの木型の代表はクロケット&ジョーンズのラスト375でしょう。

ラスト375は、もともと同社のローファー用ラスト325を日本人向けにモディファイしたもの。カカトを小ぶりに、土踏まずをさらに絞ってフィッティングを向上した現代的な木型です。

その甲斐あってローファーの木型でありながらどこもツラいところがないという奇跡のようなフィッティングに!!!

……いや、ウエストンの180慣らしてから履いたら本当に奇跡のように思いますよこのフィッティング。

ローファーはフィッティングを紐で調整できないのでハーフサイズ下げるべきだ、とか色々言われますが、クロケットのラスト375にはそんな小細工は不要です。

ツラいローファーを増やしすぎる前にオススメしたい1足です。

EDWARD GREEN ラスト202とラスト32

見た目と履き心地のバランスはピカイチ、かつ中古市場でも手に入れやすいのでここも是非お早めに。早めに履けば寄り道が減ります。

202ラストはこんなにクラシックな見た目なのにボールジョイントは楽だし、土踏まずはしっかり支えてくれるし、足裏のフィット感も既製靴随一だし、カカトのつかみもしっかりという超絶優等生ラストです。

これを初めの方に知っておけば、今まで買った靴全部売ってエドワードグリーン揃え始める、みたいな事態に陥らずに済みます。

ええ、ええ、ほぼその様相を呈しましたとも。

32ラストは202に比べて小さい作りなので、サイズは上げないとしんどいかもしれません。(もでぃふぁいど はハーフサイズあげています)

202と32は履き心地が似ていますが、個人的には 32ラストの方が足に合いました。カカトのつかみは32の方が強めなので、カカトが小さい方はこちらがいいのかも。

これもお早めにどうぞ。

Heinrich Dinkelacker Buda/Rio

オールデン、ウエストン、クロケット、エドワードグリーン。ここまで押さえておけばもう大丈夫です。名実ともに革靴好きと言えるでしょうし、履き心地を身近な人に語れば引かれること請け合いです。これにて殿堂入り、ジョウト地方はOKです。

ただ、さらに革靴道を極めたい!俺はカントーにも行きたい!という方はこの先に進まねばなりません。東欧靴の世界に。

というわけでまずはハインリッヒディンケラッカー 。これはBuda。

ボールジョイントって今までなんで固定してきたの?と言いたくなる足前半分のフリー具合と、カカト〜甲という足の後半部分をガッチリ固定するこの履き心地はまさに東欧靴。

Gウィズという表記も衝撃的!が、これはあまり関係ないかも。Gとは思えないほどカカトとかタイトなんで。

こっちはRio。Budaよりももっと土踏まずのフィット感を上げたイメージです。カカトやボールジョイントはさらに少しフリー。

2022年現在では生産工場の移転等で手に入れにくい……というか移転後にクオリティが怪しくなったというもっぱらの噂が出回る状況が続いていますが、今後の展開に期待です。

きみは いま! カントーちほう への だいいっぽを ふみだした!

VASS Fラスト

お次はハンガリーのブランド、VASSのFラストです。(U/Kラストは履いたことないので、、、)

ラストの登場背景を考えると東欧靴のカテゴリかは怪しい感じもありますが、イタリアの伝説的ラストメイカー、ロベルトウゴリーニ氏作成のFラストは、ドレスシューズにおいてベンチマークとなるべき木型かと思います。

どこも痛くないのにどこも緩くない、こんなにフィットするの??という感覚はクラシックな木型における最高峰です。

VASSはサイズ表記と実際のサイズの関係がイマイチ難しいのですが、今履いている靴のサイズをメールで送るなどで親身に相談に乗ってくれます。また通販感覚で個人輸入できてしまうので、サイズさえわかれば早めのチャレンジをオススメ!

Saint Crispin’s Classicラスト

今まで挙げてきた中でも最も衝撃的な履き心地だったのはこのブランドの靴かもしれません。その履き心地はまさに異次元、その名はサンクリスピン!!

カカト〜土踏まずまでの強烈なフィッティングは、これまで挙げてきた靴を履いてきた身にもじゅうぶん衝撃でした。

革靴道において最もショートカットとなるのは、さっさとサンクリスピンの靴を履いちゃうことのような気がします。

ただ年々取り扱いショップが減っているので、もはや試着して買えるところもあまりないのが現状です。中古もほとんどないですし。

今サンクリスピンが履けてオーダーまでできるのは、大阪の田中十靴店さんくらいですかね、、、

ストラスブルゴ さんのアウトレットにサイズまちまちで転がっていることもあるので、サイズがあればラッキー!(取り扱い自体は一昨年前くらいに終わっています)

ここまで取り扱いが減っていくのは、サンクリスピン側にも何かしらあるのでは?と勘繰らなくもないのですが部外者なんでわかりまへん。

Gaziano & Girling TG73ラスト

さて、また英国に戻ってきました。ガジアーノ&ガーリングは足全体をフィットさせる木型を用いつつ、靴の製法を工夫することで「履き始めからツラくない」を実現しています。

このTG73ラストは足全体をフィットさせるような設計です。しかし用いるアッパーの革のしなやかさもあってか、その履き心地はまさに「吸い付く」履き心地。

様々な媒体で「吸い付くようなフィッティング」という話が出ますが、個人的に吸い付く力No.1はガジアーノ&ガーリングです。

TG73ラストを始めとして、ラストの違いはトゥシェイプによるものとされていますので、GG06、MH71、DG70ラストも同様かと思われます。

見た目はビスポークばりにエレガント、しかしフィッティングはクラシック、履き心地は快適そのもの。これはクラシックの域にとどまらない新たなクラシック……ネオ・クラシックなのかもしれません。ネオクラだー!!!

J.M.WESTON 677(32ラスト)

もうこのあたりは革靴道でも相当酔狂な域に入ってきていると思わなくもないですが……

カジュアル靴における最高峰のフィッティングはJ.M.WESTONのハントではないかと。

ディンケのBudaなんかも最高ですがツォップナートのせいか返りが若干硬い気もします。

その点ハントは見た目の重厚さから想像がつかない柔らかさ。そして履き口とカカトでしっかり固定するので、J.M.WESTON特有のツラい修行(ボールジョイントや甲を馴染ませる)も必要ありません。

カカトと甲の固定こそがカジュアル靴におけるフィッティングの要ではないかというのが、この靴を履いて確信できました。

もでぃふぁいど も正規品を買った身ではないので胸張って言えたもんではないですが、状態の良い中古やアウトレットで出会いがあればオススメしたい1足です。

ビスポーク

もうこれ言っちゃうとアレなのですが、ビスポークはもうちょい早めにやっておけばなと。もうベンチマークとかじゃない!!

少なくとも今まで挙げてきた靴は経験値として必要だったとしても、それ以外の寄り道の部分でビスポーク何足作れたんでしょう?

ここまでで9足ですからね。あと81足分でビスポーク作れますからね。はい。うん。うん……。

「まるでビスポークのような」というのは既製靴のコピーで頻出するのですが、そもそもビスポークってなんやねん!というのはもう少し早めにわかっていても良かったなぁと思っています。最近。

まとめ!

以下まとめてみました。ナウいとか言ってますがディンケの木型も相当古いですし、あんま冴えた分類とは言えなそうですね。

ただ、いずれも個人的に足の経験値に大きく資する靴たちでしたので皆様のご参考になれば幸いです。

英国的クラシックな木型のベンチマーク/道しるべ!

・J.M.WESTONラスト31/41
  (641ゴルフor180ローファー)
・VASS Fラスト
・Gaziano&Girling TG73(たぶんその他も)

ナウい木型のベンチマーク/道しるべ!

・Alden モディファイドラスト
・Crockett & Jones ラスト375
・Edward Green ラスト32/ラスト202
・Heinrich Dinkelacker Buda/Rio
・Saint Crispin's Classicラスト
・J.M.WESTON 32ラスト(677ハント)

今日のモディファイ!

みなさまの足元に幸あれ、、、

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