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100日後に履かれるAlden〜20日目: 2代目のVチップ

話せば長くなりますが……買ってきたテンションそのままの日記を転載します。

100日後に履かれるオールデン!

誰に望まれるでも喜ばれるでもなく、バカでムダなことがしたい!!と深夜テンションで考えてしまった もでぃふぁいど 。

オールデンについて100記事書いた後に履き下ろした際にはよくわからないカタルシスとフィナーレ感でドーパミンがドバドバのはず!!!

待ってろ世界!待ってろオールデン!

買った当日の日記。笑

いつかも日記を転載して「人格が違う」「別人かと」みたいな感想もいただきましたが、今回もやっちゃいます!笑

この「100日後に履かれるオールデン」をなんで始めようと思ったのか、そんなところも感じとれる……かもしれません。

あああああ54321だぁ!!!!

久しぶりだな!!

少し大きくなったか???

なってるな。

(理由は後述のとおりです)

この濃ーいダークバーガンディこと、#8コードバン。

レアカラーが欲しくて欲しくてたまらない若かった時分には、早くバーガンディらしい赤みがもっと目立たないものかと、赤みの強いコードバンリノベイタークリームを毎回塗ってたっけ。

その後、陽に当てるFaded Aldenという手法も使ってレアカラーっぽく色味を抜いたりもした。おかげでずいぶん薄い色のオールデンになって、当時お気に入りだったA.P.Cのプチニュースタンダードとよく合わせていたもんだ。たまにレアカラーですか?なんて聞かれたときには「いやぁ、かくかくしかじか」と。きっとここぞとばかりのドヤ顔であっただろう。

が、月日が経って、いろいろな靴を履くにつれて、いろんなことがわかってきた。

まずは色味。

あんなに躍起になって色を抜いたのはいいが、こんなに真っ赤になるとは思わなかった。

当時は幻だった(今もだけれどリリース自体はかなり増えたらしい)レアカラー、#4も赤いし、なんならさらに赤い#2なんて色まであるもんだから、当時は赤くなる分にはレアカラーっぽくて最高だと考えていた。

しかし、大変ありがたいことにレアカラーオールデンを入手する機会をご紹介いただける僥倖に預かるに至って、赤みの強いオールデンを履きこなすのはなかなか難しいと感じるようになった。

例えば、カーキやオリーブグリーンといったボトムスは大抵の靴に合う素晴らしい色味なんだけれども、こと真っ赤なオールデンと合わせると1人クリスマスになってしまう。自意識過剰かもしれないが。

ウイスキーやラベロ、シガーといったレアカラーは、他のブランドでも茶靴としてみかける色だし、前述のオリーブグリーンの他、チノはもちろん、カジュアルな格好にはだいたい合わせやすい。でも赤、オメーはダメだ。

そもそも他のブランドで赤い靴のラインナップがあったとして、わざわざそれを買うか?と言われれば、自分は選ばない。

黒や茶を買った上でネイビーとかグリーンで悩んで、赤はその次くらいにようやっと……という優先度だ。

赤い靴を履いていると、「赤い靴を履いている人」以外の印象が自分から消え失せる感じがする。いわゆる靴に履かれている、というやつかもしれない。

そんなわけで、いつしか真っ赤な54321の登板機会は減りつつあった。

なにより、色味よりも大きかったのが、足のサイズの変化だ。履き心地が最高であれば、染め直したりしてでも履く価値があったと思う。

しかし、そうはならなかった。足のサイズが変わったのだった。

そもそも革靴にハマるまでスニーカーばかり履いてきた自分の足は、甘やかされまくっていたため、ロクな筋肉がついていなかったのではないか??

革底の靴で歩くようになって2-3年経ったあたりで、足のサイズが大きくなったように思う。もしくはカカトにデカいタコをこさえたので、それで足の全長が伸びただけかもしれない。

いずれにせよ足は大きくなったのは事実だ。

オールデンを安心して通販で買うためにも、ブランノックデバイスを自宅用に購入したりもした。

8D、8.5C、8.5Dで「うーん」となることはある。

しかし何度やっても、7.5Dにはならない。

7.5Dに合わせようとすると、ブランノックデバイスのマーカーが明らかにボールジョイントに食い込むので絶対になりようがない。

必然、最近8Dや8.5Dで買うようになった他のオールデンと比べると54321はキツい。羽根も開いてしまう。無理に紐を結べば甲が痛い。

そんなわけで、色味の合わせづらさ……というよりは苦手意識と、サイズ感の不一致によってお互いの間の溝が決定的になった僕らは、一度ここでサヨナラしようと決めた。

ブログ友達である首藤氏には「そんな、最初期に買って今まで履き込んできた1足なんて、今さら手放せないでしょwww」と言われたが、実のところ翌日あたりに54321はフリマサイトから旅立って行った。

恐ろしい男!なんて冷徹なの。今まで私と色んなところに行ってきたじゃない!この薄情者!ずっとサイトのアイコンにもしてきたくせに……

ちなみにコレは出張で行った北鎌倉駅です。聖地巡礼どうぞ。

胸が痛んだが、そんな声をダンボールでフタしてさっさと送ってしまうと、心にポッカリと穴が空いたような、心もとない気持ちになった。帰って靴棚を見ていてもなんだかやるせ無い。

お互いのためにもこれで良かったんだ、きっとそうに違いない……。

そこから数年の間「何か足りない」という気持ちを引きずりつつも革靴生活は続いた。

断っておくと、自分からフっておいてこんなこと書くやつは最低である。相手が人だったら総スカン必至だ。

彼女とのすれ違いの日々は続く。

ふと楽天ポイントが貯まったのでユナイテッドアローズで購入してみようかと店員さんに尋ねてみれば、「2年前に入荷してそれきりですが、ご覧になったのは結構前ですか?」「もうそんな前でしたっけ……」。

つい最近見かけたような気がしていたが、言われてみれば、あれはコロナ禍前だったかもしれない。

おじさんにとって2年前は結構前ではなく、最近である。

何度か個人輸入をしてみようかともmoulded shoeのページを覗いてもみたけれど、あちらでも人気らしく……というか展開数が少ないと思うのだが、予約しないとマイサイズには出会えない。

しかし予約したとして、入荷時に購入できるだけの財務的体力があるかどうかはかなり怪しい。物欲ルーレットはハズレなしで常に回り続けているのだ。油断も隙もあったもんじゃない。

そもそも個人輸入かダンゼンお得かと言われれば、転送サービスの手数料に関税に……といった具合でイマイチお得感が薄い。為替が入荷時にどうなっているか見当がつかない点もつらい。1ドル102円のタイミングがあっただなんて最近では信じられないような有り様だ。

そしてこれは他の靴で学んだことだけれども、靴は試着して実物もよく見た上で買うべきだ。この基本にようやく立ち返りつつある。

例えば某所から通販で買った新品のオールデンはつま先に激しい色抜けがあったことがある。太陽光の下で見ないとわからないものだったので、履いてしまったこともあってショップを責めることはできないと思ったが、明らかに肌色がまだらに透けていて、補色しても色が入らず、プロもお手上げ。

こういう目に遭わないためには、やはり自分の目でよく見て、履いて、全て納得した上で買うべきなのだ。当たり前かもしれないが。

通販ではなく、リアルで彼女に会いに行く。

それはつまり、定価で買う覚悟が必要だ。

以前に54321を買ったのはかれこれ2回の価格改定前だった。

当時は税込で120,960円だ。そもそも消費税が8%の時代だ。

2016年と2022年。オールデンの値上げはその他の革靴ブランドほど回数が多くない。(とはいえ2022年の価格改定のインパクトはそれを補って余りある。)

それが今や?17万円近いって?ウソだろ?

とはいえ、それも時代の流れ。これは以前に聞きかじった話なので真偽は定かではないが、極端な話、高級靴って値上げしても売れる数があまり変わらないんだとか。

13万でもオールデンを買うし、17万でもオールデンは買う。

J.M.WESTONの180だって、靴に興味を持ち出した時分には5ケタ円で買えたけれど、結局欲しけりゃ一生モノとか言いつつ15万くらいは出しそうな気がする。(当時スペシャルオーダーしたので結局そのくらいした)

でも17万円出すなら、あとほんの少しでエドワードグリーン買えちゃうぜ。

正直悩んだ。「過去持っていた靴を買い直すのか?」と。

しかしフラフラしていると、彼女はどんどん手が届かないところに行ってしまう。

また、今の自分には、迎えに行く資格(キャッシュ)があるのだろうか?さすがにマズくない?

……資格がなくてもどうにかしよう。

ある日、そう決めた。キャッシング、ダメゼッタイ。(後年のために書いておくと、そこまでせんでもなんとかなった)

あなたともう一度、ラコタハウスで。

もう運命に委ねようと思った。

全くリアルタイムでなくて恐縮なのだが、時は2022年の値上げ前。

(注:このあたり書いているときは、2022年末に5回くらい連載して履くつもりでした)

ラコタハウスでオールデンを買おうとしても在庫がなく、予約となることは多い。1回目にVチップを買ったときもそうだった。

今回は在庫がなければ予約しても入荷は価格改定後だ。

・在庫があり
・フィット感が申し分なく
・受け入れられる範囲の雑さ

であれば買おう。そう決めた。ダメなら縁がなかったと諦める。一度は自分からフった靴だ、しょうがない。

ラコタハウスのホームページを見るとなんと8.5Dの在庫はある。8Dはなし。

はたして、この8.5Dの個体が訪れるラコタハウスにあるのか?(大阪店の在庫だったらもう無理だ)

ブランノックデバイスを自前で用意してまで測ってきたが、8.5Dが本当にフィットするのか?前回7.5Dだったのに、さすがにデカすぎないか?

電車に乗ってラコタハウスへ向かうまで、彼女に試されているような気がした。この段に至って思いは募る。

失ったマスターピース。

あの日無くした魂の一部。

革靴道の伴侶。

さよならだけが人生だ、なんて言われても、まだ全てを諦めることができない。

彼女はまだそこにいるだろうか?僕はその縁をまだ持っているのだろうか?

結論から言うと彼女はそこにいた。

久々に会ったが、以前よりひと回り大きくなったのは気のせいではなさそうだ。1サイズ違いますもんね。

バーガンディも黒かと見紛うほどに濃い。

だがそれで良い。ぜひそのままの濃さを保って欲しい。ローズボルドーのアーティストパレットを買おう。

黒ではない、くらいのニュアンスで良い。そこにこの靴らしさがある。独断と偏見だが。

履いてみたところ、フィット感は申し分なかった。

アーチはブランノックデバイスで測っていたので心配していなかったが、むしろ手持ちのカーフの8.5Dより突き上げ感が素晴らしい。

問題は羽根が閉じ切らないかどうかだ。

これは他のオールデンでの経験から、羽根が5mm、もしくはかなり大きく見積もって1cm開いていれば安心だ。コルクが沈み込んでも羽根は閉じ切らないだろう。

ここばかりは個体差が出るような気がしているので、ぎりぎり閉じてしまう恐れがあるサイズで買うときは試着しないと危ないと思っていた箇所だ。

最悪閉じ切ってしまったらタンパッドを貼るのも良いとは思っている。アナトミカ別注みたいだ、と思っていれば良いだろう。(厳密には違うようだけれども)

ともかく、履いた感触はバッチリだったので、あとは決定的な不良箇所がないかチェックする。

他のブランドであれば、神経質にならなくてもいい………というか必要ないチェックだ。

ただ、これはナメていると結構シャレにならないものがあったりする。

いろいろ言われているが個人的に経験したのは

・前述のつま先の色抜け(補修不可)
・ステッチのほつれ(店員さんがその場で焼き切ってくれた)
・ブーツのスピードフックがつぶれていてシューレースが通らない

あたりだろうか。スプリットトゥが真っ直ぐ前で揃わない、とか色ムラが……というあたりは気にし出すとそもそもオールデンが買えなくなる。

ハトメの裏やシュータン、履き口やライニングへの染料の付着は、100%あるのでもはや仕様である。他のブランドで見たことないけれど。

で、今回は店員さんに「外観見せてもらってもいいですか?」「どうぞどうぞ」ってな具合で購入前にじっくり見せてもらった。逆の立場だったら内心ヒヤヒヤで心臓がもたないかもしれない。致命的なものがなければ良いだけなんだけれど、たまに抱えているのがここの靴だ。

そうして靴を持って四方八方から眺めていると、店員さんが「この靴はあるとすれば、このつま先のヘコミですかねぇ」「在庫はこの1足だけですが……」と絶妙な駆け引きをしてくる。つまり、直截に言えば気にせず買うか、気になるなら買うな、ということである。

ちなみに直截は、ちょくせつって読みます。ちょくさいは誤り。

ヘコミについては他のブランドなら間違いなくB品行きだけれど、オールデンならしょうがないか、というものだ。履き心地が良かったので許すことにした。

つくづくこのクオリティの靴に13万も払うのかと我に返る瞬間がちょくちょくあるが、あの履き心地には代え難い。悔しい。

これが値上げしたことでさらにこの思いを深める紳士たちは増えたことだろう。

思えばあの丸の内二重橋スクエア界隈の靴屋は不思議だ。

靴のクオリティに首を傾げつつ客が妥結する店があれば、その近所では客が自らの足の頑丈さと靴の頑丈さを天秤にかけて首を傾げる靴屋もある。あの界隈の靴好きの悩みは深い。

その点自社製ラバーソールの店は安心。そこで満足して上記2つの店に一生足を踏み入れないと言う不退転の意思があれば。

この3店舗が生み出す煩悩は1ヶ月で108を優に越すと言われる。

そんなわけで、自身2代目の54321を迎えてきた。

オールデンも高級靴ももうほぼ打ち止めという感じがしている。言わば最後のオールデンだ。

(……と書いたときには思っていたわけですが、果たして)

そんなことを言いつつ靴を買い続けてきたこの数年間だったが、結局原点とも言える靴に立ち返るという段階に至っていよいよの感がある。

大事なものはすぐそばにあったのだ、的なやつである。

自分はそんなに個性的な靴を求めているわけでもないということもわかってきた。

やたらにエイジングをさせるでもなく、やたらに光らせるわけでもない。

勝手知ったる腐れ縁なので気負わずのんびりやっていくつもりだ。

今日のモディファイ!

これを大幅に増補改訂したのが今回の企画なわけですが、もはや書き下ろし部分しかないです。いっそ単行本にしたろうか。

2件のコメント

  1. オールデンVチップという革靴史に残る名靴を再購入という勇者的行動に感服しました。
    一足目とは育て方を変えるとのことですので経年変化の違いなんかも今後楽しみにしてます。サイズも違うので履き心地含め楽しみが多いですね。
    ちなみにオールデンの製品のクオリティは過去のものと比べていかがてじょうか?以前試着まではしたことありますが、ライニングに染料が付いてたりして、これはちょっとという個体でしたね。私は値段とのバランスも考えてフランスのタイトフィットなメーカーになびきました。
    給料アップのペースを遥かに上回る価格改定の嵐…欲しい時が買い時とは言うもののなかなか先立つものがね。円高に振れたときには値段戻して欲しいものですね。

    1. ぶんちゃんさま
      コメント&もったいないお言葉の数々、ありがとうございます……!!

      色も違う(ように育てる)、履き心地も違う、ということで「これは別の靴だ」と無理やり自分を納得させて購入しました。笑

      オールデンのクオリティですが、めちゃめちゃ率直に言ってしまうと「相変わらず低い」になると思います。笑

      この個体は羽根裏どころか腰裏(スベリ)にも染料の付着がありますし、何より靴の顔とも言えるトゥに打痕のような凹みがあります。
      記事にも書きましたが、タイトフィットなフランスメーカーなら間違いなくB品行きのクオリティのものが、定価でゴロゴロのさばっているのがここの靴です。笑

      縫製の緻密さとかヨレとか、他ブランドのようなクオリティの軸で語るレベルに無いと思います、正直。コードバンの質自体は5-6年前とそんなに変わらん気がしますが、、、
      これだけ酷評しときながら、それでも買ってしまうのは自分でもアレだなと思います……笑

      製品の質対価格であれば、ご購入されたフランス靴が昨今1番の気がします。値上がり幅も他ブランドと比べれば良心的ですし、クオリティもさすがです。

      私は早くも今年は緊縮財政続投が決まりました。
      ラ○タの店員さんと円安の話になったとき、「円高になっても値下げしないんですけどね…」と言っていたのでオールデンは望み薄ぽいです、、、
      過去円高で値下げしたのは渡辺産業さん(チャーチ、チーニー)くらいですが、チャーチはそもそも論外な価格になってしまいましたのでなんだかなぁ……

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