正直に書いていっても良いことしか見当たらない
初ビスポーク、届く!!
人生初のビスポークシューズが届きました!
セミブローグ、本当に大好きなんですよ。思い返してみるに今まで1…2…………9足も既製で買ってきたようです。
が、セミブローグが好きすぎるあまりこだわりも強く、履き心地も素材もデザインも一切妥協できなかったために足元に全然残っていないという、もでぃふぁいど にとっては鬼門のデザインなのでした。思い返してみても何やってんだろう……
しかし断言します。今回のはもでぃふぁいど にとって世界最高のセミブローグです。セミブローグ探求が終わりました!!あとは履くだけ!Just wear!!
そして自分が好きだったら人からの評価は割とどうでも良い性分ですが、この靴は世界各国から人生初の1,200以上のいいね!をもらってしまいました。むしろKiyo Udaさんに喜んでいただきたい!!!あなたの作った靴、世界中から大人気ですよ!!
さておき、同じように特定のデザインが好きなのに全然残らない方は、迷わずビスポークをオススメです。
外観レビューは先の通りですが、数日履いて20kmくらい歩いてきました。今回は履き心地をレビューしつつ、履いていて気づいたことも色々書いていきます!
履き心地レビュー!
Tight enough!でも靴擦れない!
足を入れるとまず感じるのは、足を全方向からガッシリ掴むような心地よくタイトなフィッティングです。
特に踏まずや甲、ボールジョイントと言った要所はバッチリ抑えが効きつつもツラくない絶妙な塩梅。足を計測して作るからこそのギリギリを攻めたフィッティングと言えるでしょう。
よって、靴の中での足の遊びは限りなくゼロです。動きようがありません。
今回の靴は十分にタイトですがこれはもでぃふぁいど のフィッティングの好みなので、もちろん好みに合わせて調整してもらえる部分です。
一方、タイトでツラいかといえば逆でして、全方向均一に当たっているために、靴擦れしたり出血したりしません。むしろ履き始めからしっかりカカトもついてくるので快適です。
カカトが小さくても対応いただけるのはとてもありがたいです。ツリーのカカト部分がこんなに小さいわけなので、足のサイズが同等でも履けない方もいるのでは……
この靴を履いた直後に手持ちの様々な既製靴に履き替えて比べてみましたが……総じて既製靴が散漫かつ曖昧なフィッティングに感じてしまいます。
最新のiPhoneで撮った写真に対してひと昔前のガラケーで撮った写真みたいな。精細さを欠くというか。
床屋でシャンプーしてもらうのと、自分でシャンプーするくらい感覚が違います。例え、これで合ってます?わかります??
驚いたのは普段「タイトだな」と思っている靴を履いてもこのビスポークの後だと緩く感じるんですよね。でも感覚としてはこのビスポークシューズを履いている方が楽と。
ビスポークのがタイトなはずなのに……!!頭が混乱します。
タイトな既製靴というのは、結局足のどこかがピンポイントで当たるからしんどいのかもしれません。
修行が必要と言われる靴もしんどかったのは甲やボールジョイントだったとしみじみ思い返しています。
靴下の厚みなど甘え!!
同様に試し履きの時点で気づいたのですが、厚みが違う靴下でも意外と履けてしまいます。
分厚い靴下でもキツくない!!!
というのもビスポークは自分の足に合わせて作ってあります。靴下の厚みが変わっても均一に全方向当たるので痛みがありません。
既製で同じことをやると、甲の骨や小指、ボールジョイントなどが局所的に当たるので痛いんですよね。
ふだんから「この靴ならこの厚みの靴下を〜」とやっていましたのでこれも驚きでした。
十分にタイトなので、敢えて分厚い靴下を履いて出かける気にはなりませんが……笑
意外と硬めなのはソールのせい?
ひとつ予想と実際でギャップがあったのは返りの硬さでしょうか。ハンドソーン製法で作られた靴はグッドイヤー製法で作られた靴より、構造上、返りが良いと言われています。
が、この靴は同じくハンドソーンのVASSに近いガッシリとした返り心地です。というかグッドイヤー製法のエドワードグリーンやジョンロブと同等な気がします。
しかしこれは、もでぃふぁいど がそもそも分厚いソールでお願いしたのも多分に影響しているような気がします。(通常厚み1/4インチのところを5/16でオーダー)
じゃあ何に比して硬いのかと言われれば、ガジアーノ&ガーリングに比してなわけですが、これはそもそもGGがオールデンのアンラインドスエードローファー並みの柔らかさなので比較するのがおかしいのかもしれません。GGはグッドイヤー製でリブも使っているはずですが、スペックだけでは計れませんね。どうなってるんでしょう?
返りについては「ハンドソーンだから〜」とか「グッドイヤーだから〜」とか一概に言えるものではないということです。アッパーやライニングの質感、ソールの厚みなど様々な要素が影響してきます。
まとめるとKiyo Uda氏の靴が特別硬いとかそういうわけではありません。特に柔らかいとされるグッドイヤーよりは硬いというだけで。
むしろ、英国靴らしい見た目通りの質実剛健、気骨ある履き心地と言えましょう。馴染むのが楽しみです。だって履けば履くほど、これからもっともっと柔らかくなっていくわけでしょう?期待しかない。
このあたりもある程度調整がきく部分もあるかと思いますので、柔らかい靴が良いと思っていれば、予め相談するのが良いですね。
アンソニークレバリー譲りのトゥスプリング!!
Kiyo Uda氏のビスポークシューズの特徴である英国靴としてはやや大きめに取られたトゥスプリング。
これは私見ですがジョージクレバリー/アンソニークレバリー譲りの設計だと感じました。(氏はジョージクレバリーのアウトワーカーを務めていた他、氏の木型の捻れもジョージクレバリー譲りとのこと。)
ここの靴もつま先が接地面から結構離れていますね。
地を這うようなガジアーノ&ガーリングの靴と比べるとご覧の通りです。もでぃふぁいど も地を這って撮影しました。
GGはちょっとソールが削れちゃってますが比べてみると、トゥと接地面の距離は一目瞭然かと思います。
これはデザイン上の話だけではなく、蹴り出し時の感触に大きく影響しています。
蹴り出し時に「ポンッ」と心地よく瞬時に靴が足に戻ってくるような感覚は、トゥスプリングがちょうど良く設定された靴でしか得られません。
今まで90足以上既製靴を履いてきてこの感覚が得られたのは、この靴とオールデンの54321(モディファイドラスト)のみです。
ご存知の通り、モディファイドラストの靴って「歩きやすさを追求しました!!」然とした丸っこいフォルムなのですが、同じ感覚がこのシャープでエッグいフォルムの靴で味わえるとは夢にも思わなんだ。
もでぃふぁいど meets モディファイドラスト on ビスポークシューズ。
やはりこの世の奇跡か。
ちなみに蹴り出し時の感覚だけが似通っているのであり、その他のフィッティングや作りなどは何から何まで違うというのも不思議なところです。
この蹴り出しの感覚は、捻れたラストと相まって生まれる紳士靴の秘奥の1つだと思います。秘奥、垣間見ちゃった。
ラストが捻れているというのは、この靴はソールに注目するとご覧のように反り上がりかたが左右で異なります。靴の内側の反り上がりかたがキツいですね。これも蹴り出しがスムースな要因かと。でもぱっと見わからない。そのバランスに感動。
蛇足ですが、たしか某世界的靴ブログでは「好みが分かれる」と書かれていたこのトゥスプリングですが「履いてから言えや!」と日本の片隅から声を上げておきます。笑
(履かずにコメントする場面だったのでしょうがないと思いますが)
モチフワ!感動のライニング!!!
ライニング、写真に撮りようがないのですがムッチムチのモッチモチです。
一般的な既製靴に比べ柔らかいものを使うので噛まれる心配はあまりしなくていい、というお話は聞いていましたが、たしかにモチフワです。
モチフワ具合でいえば、
ビスポーク(Kiyo Uda)≧ジョンロブ≧EG>GG>その他
といった具合でしょうか。
これで枕とか作ったら気持ちいいだろうなぁ〜。オッサンの脂がたくさん染みそうですが。
戯言はともかく、最近ライニングの大切さをひしひしと感じています。
ライニングがモチフワできちんと摩擦が発生すれば、靴の形状で強く抑えなくても靴が足についてきます。ジョンロブなんかはまさにそれで、トロモチフワなライニングでフィッティングを向上しているように感じます。
ライニング、だいじ。
しかし、ライニングがモチフワァァァァなのにラストも足なりの形だとしたら??
そらビスポーク、履き心地良いわけですね。
ンモチィィッッ!感動のアッパー!!
アッパーは思った以上にトロフワモチモチです。敢えて履いた直後ツリー抜きのこの写真でムッチリ感が伝わりますでしょうか?モチモチというか、「ンモチィィィッッ」って感じです。むぎゅフワもちもち。
このアッパーとしなやかなライニングだからこそ、靴が硬く感じるとしたらソールの影響か?と思ったわけです。
アッパーとライニングの素材は返りに結構影響してきます。カーフのドーヴァーと、ユタカーフのドーヴァーで返りが全然違ったからです。カーフはガチガチ、ユタカーフはふんわりです。
今回のカーフは、まだ数度履いたのみで既に4年もののユタカーフと同等のやわらかさ。その触り心地はまさに極楽・夢見心地です。
シワの入りかたはこんな感じ。過去90足で1,2位を争う穏やかな表情。もはや菩薩。南無南無。この表情は、ヴィンテージのウエストンが近かったかもしれません。現行では間違いなく堂々の1位です。ありがとう。
上のツリー抜きの写真ではシワが強く入っているように見えますが、通常ツリーもしくは足が入っているので普段目にするのは下の写真の表情ですね。良い顔だ。復元力も高そうです。
削れない!鉄壁の5/16インチソール!!
数度履いたってのは近所の散歩ではなく、iPhoneによれば計20kmはこの靴で歩いていることになります。
このくらい歩けば、レザーソールのつま先部分は毛羽立ってきて、履いてても上から見るとそれが見えたりするんですよね……
というのがいつもの感覚なのですが、今回はこれ。え?いや?どこが削れました??毛羽立ち??なにそれ??なんならコバの染料すら剥げてなくない??
ちなみに前から見てもこう。削れ???
いや、別にもでぃふぁいど は丸の内のタイル張りの床と大理石の玄関を往復するような暮らしではないのですよ?ここで転んだら鬼おろしだなというレベルに劣化してボコボコのアスファルトとか歩いているわけです。
それでこの削れでしょう?もでぃふぁいど の知っているレザーソールと違う!!!
通常使われるソールより分厚いのは元より、本来は質実剛健な靴用のはずなので更に硬めだったりするのでしょうか?なんか恐ろしいものを見てしまった気がします。
落涙!綺麗なままの踏まず!!
踏まず部分て、もでぃふぁいど はなかなか合わないのか横方向にシワが入ってしまうことが多いです。
踏まずに吸い付く履き心地のガジアーノ&ガーリングもこの通り。
ってさっきから槍玉に上がりがちなガジアーノ&ガーリングですが、ビスポークに対抗できるエレガントさを持つ既製靴という意味で比較させてもらっています。
ビスポーク並べて比較できるような既製靴という時点でそのレベルの高さは推して知るべしです。踏まずの後半にかけてググッと絞り込むこの形状はほんと見事です。
で、一方のビスポークは数回履いてこの通り。う、美しい……!!
これはブランドや作りどうこうというより、きちんと足を計測して作るとこうなるのだな、と改めて感じた部分です。作って良かった。ちょっと泣いた。
これから更に履き込んでいってどうなるかはわかりませんけどね!でも綺麗ですよね!!
改めてスムースなヒール!!
改めて見ていて思いましたが、ヒール部分、アッパーと積み上げの継ぎ目がわからないくらいスムーズに繋がっています。
ヒールをギリギリまで攻めて成形してあるのはもちろん、こんなふうに釣り込めるのはハンドラスティングの強みです。木型に手で革を伸ばしながら固定していくので、革の伸びや方向を逐一調整しながら釣り込むことができます。うーん、微妙なテーパードヒールと言い、匠の技!!!
カカトの小ささも比較してみた!
単体でいくら小さいとか言っていてもね、比較しないとわからんよね。
食いつき抜群、既製靴で1-2位を争うのではないかという小ぶりなカカトのガジアーノ&ガーリングと比べてみました。毎度スマン。
しかし小さいです、カカト。ガジアーノが大きく見えます。ほんと、これカカト小さい靴なんですよ。
こうして見てもKiyo Uda氏のビスポークはカカトが小さいですが、これは足に合わせるとカカトが小さく見えすぎるので、むしろ芯材等の厚みを調整して大きく見せるというKiyo Uda氏の調整あっての賜物です。
次回、もう少しだけカカトは攻められるかもしれませんが、そうすると更に小さくなっちゃうんだよな……。既にこの上ないフィット感で、ソールの返りがつけば全く問題ないとは言えビスポークなら攻めてみたい欲も……要検討ですね。
既製靴もすごい!!
逆説的ではありますが、ビスポークを履いてみて既製靴の良さも改めて感じられるようになりました。
土鍋で炊いたご飯を食べたことで、炊飯器が目指している先がハッキリわかり各メーカーの工夫が感じられるようになった、みたいなもんですね。この例要ります?
つまりベンチマークとなるビスポークという足に究極まで合わせた靴の履き心地を知ったことで、各既製靴ブランドが凝らした工夫が何を目指していたのかを理解できるようになったということです。
こうして見ればガジアーノ&ガーリングのTG73ラストの捻れがビスポークと同等であることが理解できますし、
アッパーの革の柔らかさはビスポークと同等であることも理解できます。
ジョンロブのライニングのモチフワ具合がフィッティング向上に役に立っているのも改めてわかりましたし、ウエストンでキツい靴を馴染ませた後の履き心地についてもビスポークと共通する要素を感じられます。
先に出てきたオールデンのモディファイドラストのトゥスプリングについても同様です。ただしアメリカの靴はビスポークの履き心地の再現ではなく、万人に適応できるフィッティングを追求した結果なのでちょっと趣が異なるかもしれません。
そんなあたりは改めて記事にしていきたいと思います。
いずれにせよ、上では「曖昧」だの「散漫」だの書きましたが、既製靴を履いていて困ることがあるかと言えばNoです。ビスポークだから既製靴の倍の距離歩けるかと言えばそれも否。
結局、どこまでフィッティングを追求するかというのは完全に趣味であり道楽なのですが、道楽上等です。でなきゃこんなブログはやってません。
長く付き合える1足が、自分の足専用だなんて最高だと思います!!!
まとめ!!
というわけで単なる履き心地以上の長い記事になってしまいましたが、履き心地は単純に最高です。
当たり前ですが足なりに作っていただいたわけで、既製靴では実現不可能なフィッティングです。少なくとも、もでぃふぁいど の小さいカカトに対応する既製靴は作ったら赤字になることでしょう。
その対極となる「カカトフリーでも他でフィットさせればいいじゃーん!」なオールデンも魅力的ですが、ビスポークの世界にも足を踏み入れてみて非常に良い経験になったように思います。
2足目という(強い)誘惑もありますが、まずはしばらく履き込んでみてフィッティングの変化や、さまざまな足のコンディションで履いてみてじっくり付き合ってからに……するんだぞ……?いいな?絶対だぞ??
今日のモディファイ!
さて次は雨用か、よりドレスに寄せるか……悩むだけならセーフだから!!!
興奮する記事をありがとうございます(^^)
でも、あれですね
自分がもでぃふぁいどさんの奥様なら確実にこの沼感にキレますw
靴よりも(靴もですがw)なにより奥様の素晴らしさに感涙ですw
こりこりおさま
コメントありがとうございます!
嫁あってのこのブログですw
そして貯蓄の話が出るたびヌルリと躱す私のヌメり具合の賜物でもあります!!!!
ビスポークに踏み切って採寸した記事を見て以来、進捗が気になっていましたが、いよいよ出来上がってきたんですね。興奮が伝わる記事でした。
足なりのフォルムで履きやすさを追求しつつ、各所のバランスを見ながらトータルで美しく仕上がっていますね。革質もいいし、ブローギングの仕上がりも最高ですね!
私はまだ既成靴からMTOに手を(足を)伸ばし始めているぐらいですが、一足飛びにビスポークなんてのもいいのかなと思わせる内容でした。個人的にはいつかはヨウヘイフクダと思っています。ハウススタイルのロングヴァンプのフルブローグが刺さります。
ぶんちゃんさま
コメントありがとうございます!ビスポーク自体の納期はあまり拘らなかったのですが、その間に色々買っちまう私の人間性こそがネックでした。笑
徐々にEGやジョンロブ……と複数足手を出していくより、一足跳びビスポークは結構アリだと思います!!
Yohei Fukudaさんの靴もすごいですよね。今回の靴と同じくトラディショナルなところに魅かれていました。
RTWなら……いやこのお金出すならMTO……いやせっかくならビスポークなのか……??と悩んじゃいます。
しかし悩んでないで、まずは予約して1度見に行って相談してしまって(以下略)が良いと思います!!!
予約なんかしたら確実に…何かの節目には必ずと意気込んでおります。